少し前に転居したから、手続きのために市役所へ行く必要があった。
仕事前の朝は、まだ開いていなかった。
仕事のない土日は、やはり開いていなかった。
ということで、転居してから14日以内に届け出を行うことができなかった。
むろん、私が悪い。言い訳する気もない。
だから、窓口で怒られたら、素直に詫びるつもりだった。
しかしながら、おずおずと(役所的に)日付の辻褄が合わない書類を差し出した私に、窓口の若い女性が投げかけた言葉は、
「申し訳ございませんが」
だった。
「申し訳ございませんが、こちらの書類を記入いただいてもよろしいでしょうか?」
「事故発生の事由」という欄に書けばよいのが、「遅れた理由」であると気づくのには、ふた呼吸ほどを要した。
しかし、書類が醸し出す高圧感とは正反対に、窓口の女の子の眉はずっと「八」の字を描いたままだった。
ペンを持つ私の手が少し停止するたびに、すみませんが、申し訳ありませんが、と詫びの言葉が宙を舞う。
なんなんだろうか、この嫌な感じは。
この、腫れ物に触るかのような扱いは。
この子は、何に対して謝っているのだろうか。
ルールを破ったのはこちらなのに。
何だろうか。何かが、公務員を蝕んでいる。
私には、現代の行政システムを論じるほどの知識も経験もないし、そんな気もない。
ただ、一つだけ感じることは、こんな空気の中で、彼女たちは前向きに働けまい、ということだ。
市民のために。
いま、そんな発想が、生み出されるような環境ではありえまい。
魂の叫びを発しながら、彼女たちは、ただひたすら、毎日を乗り切ろうとしている。
そんな気がした。
どうだろうか。
大学卒業後、役所でバイトやってたことある 一年契約の非正規職員 手取りは12万くらい パソコンで住民票作るだけって聞いてたけど結局戸籍の印刷や雑用や窓口もやった ほんとに何の...