2017-05-12

情けは公務員のためならず、という話

少し前に転居したから、手続きのために市役所へ行く必要があった。

仕事帰りの夕方は、もう閉まっていた。

仕事前の朝は、まだ開いていなかった。

仕事のない土日は、やはり開いていなかった。

ゴールデンウィークは、開いているわけがなかった。

ということで、転居してから14日以内に届け出を行うことができなかった。

むろん、私が悪い。言い訳する気もない。

から、窓口で怒られたら、素直に詫びるつもりだった。

しかしながら、おずおずと(役所的に)日付の辻褄が合わない書類差し出した私に、窓口の若い女性が投げかけた言葉は、

申し訳ございませんが」

だった。

申し訳ございませんが、こちらの書類を記入いただいてもよろしいでしょうか?」

渡された書類は、役所らしい仰々しさに満ちていた。

事故発生の事由」という欄に書けばよいのが、「遅れた理由であると気づくのには、ふた呼吸ほどを要した。

しかし、書類が醸し出す高圧感とは正反対に、窓口の女の子の眉はずっと「八」の字を描いたままだった。

ペンを持つ私の手が少し停止するたびに、すみませんが、申し訳ありませんが、と詫びの言葉が宙を舞う。

なんなんだろうか、この嫌な感じは。

この、腫れ物に触るかのような扱いは。

の子は、何に対して謝っているのだろうか。

ルールを破ったのはこちらなのに。

一億総クレーマー社会。キレる老人。公務員バッシング

何だろうか。何かが、公務員を蝕んでいる。

私には、現代行政システムを論じるほどの知識経験もないし、そんな気もない。

ただ、一つだけ感じることは、こんな空気の中で、彼女たちは前向きに働けまい、ということだ。

市民のために。

よい住民サービスを。

いま、そんな発想が、生み出されるような環境ではありえまい。

わたしを面倒に巻き込まないで。わたしに対してキレないで。

魂の叫びを発しながら、彼女たちは、ただひたすら、毎日を乗り切ろうとしている。

そんな気がした。

どうだろうか。

そろそろ、このピリピリとした不幸な関係見直してみては。

それはきっと、公務員のためというよりは、私たち自身利益資すると思うのだが。

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