2013-06-07

承認欲求じゃ、好きでやってる奴には敵わない

とある表現系の仕事をしている。

締め切りは明日だってのに、プラン白紙

からアイディア出して作業に入ったとしても、そんなもんのクオリティたかが知れている。

俺が明日大恥をかくのは明白だ。上から怒られ、下からは舐められるだろう。

死にたい願望だけが強くなる。


プロとしてデビューして現在6年目、歳は20代後半。

1~2年目の頃はよかった。

年代の連中にはまだ技術が無いから、センスアイディアだけで勝てるんだよ。

期待されたね、「将来楽しみだ」って。

ただそこからの俺の停滞っぷりったらなかった。

俺は自信を無くして、自分の走り方が分からないまま、ここ数年同じ場所につっ立ったままだ。

雇用主は俺から興味を失い、業界内の居場所は徐々になくなっていく。

さて、そろそろクビの可能性も出てきた。


理由は単純だ。

そのジャンルが好きで作りまくる奴と、そうでない奴との差。

数年もすると実力として如実に表れる。

もちろん俺も好きでこの仕事をやってると思ってたけど、

化け物を数多く目の当たりにしてきて、おいそれと好きとは言えなくなった。

まぁ俺は承認欲求だったんだろうな。


承認欲求からくるエネルギーのすべてを否定するわけじゃない。

でも変換効率めちゃめちゃ悪いよね。

愛されたいとか認められたいって願望を、無理くり別ジャンルの地道な作業にシフトさせるんだもの

ネガティブパワーで成り上がった」ってのは物語としては魅力的だけど、そんなもん嘘だ。

「好きだからやってる」っていうシンプルな動機で動いてる奴には絶対敵わないと思う。

俺のここ数年のモチベーションの低さっては、ある程度満たされてしまたからかもしれない。

浮かれたつもりはなかったけどね、業界に居場所ができた(と勘違いした)事で安心したのかな。


宮沢賢治の「告別」って詩がさ、胸に刺さるんだよ。

俺を歌ってるようでね。みんなはどうだい。



けれどもいまごろちゃうどおまへの年ごろで

おまへの素質と力をもってゐもの

町と村との一万人のなかになら

おそらく五人はあるだらう

それらのひとのどの人もまたどのひとも

五年のあひだにそれを大低無くすのだ

生活のためにけづられたり

自分でそれをなくすのだ

すべての才や力や材といふもの

ひとにとゞまるものでない

ひとさへひとにとゞまら

云はなかったが、

おれは四月はもう学校に居ないのだ

恐らく暗くけはしいみちをあるくだらう

そのあとでおまへのいまのちからがにぶり

きれいな音の正しい調子とその明るさを失って

ふたたび回復できないならば

おれはおまへをもう見ない

なぜならおれは

すこしぐらゐの仕事ができて

そいつに腰をかけてるやうな

そんな多数をいちばんいやにおもふのだ

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