本人はかなり症状の重い認知症であり、寝るか食べるかしかできないような状況で、既に意思の疎通は不可能。寿命は恐らくあと10年ないだろう。
近しい関係者が亡くなっている事などもあって、私がその親族の後見人のような立場になっている。相続権もある。
誰だってそうだと思うが、私もこの状況を他人に喋るようなことはまず無い。
下手に喋れば身の危険に繋がり得るし、そうでなくとも人間関係に幾許かの齟齬を来たすだろう。
何故そう思うか?
身の周りの人間達が、いわゆるボンボンに対して呪詛めいた言葉を口にするのを、何度となく見たからだ。
労せずして大きな富を相続する事が、まるで悪鬼羅刹の所業とでもいうように。
比較的若いころから上記のような状況だった私は、人々が半ば無意識に垂れ流すそういった悪意に当てられて、財産を相続する事がすっかり嫌になった。相続をしてしまったら、自分は一生罪人として罵られ続けるのだと思った。
だから、状況を知る限られた一部の人に対して、いっそ相続を放棄してしまおうかというような弱音を吐いた。
するとどうだろうか。彼らは申し合わせたかのように私を止めるのである。馬鹿な真似はやめろ、と。
それどころか、家の財産を守るのはお前の務めだと説教される始末である。
仮に私に幼い子供が居て、彼らを育てるために多額の金が必要だというのならまだ分かる。労せず富を得るのは不道徳な罪だが、子供のためには罪をも受け入れよ、という訳だ。
社会的な道徳よりも家族親族の利益を優先するという、その姿勢からしてダブルスタンダードで非常に気に入らないが、現実問題として手に入る金を捨てて苦労すれば後々子供に恨まれもするだろう。
だが、既に述べたように、私は若いころからこの事について悩んできた。そして、子供を作らなければいいのだ、という結論に達した。
しかし、そういう事を説明しても、やはり馬鹿な真似はやめろと言われる。
じゃあどうすりゃいいの?
どうやったら私は罪人にならずに済むの?
世間からの有形無形の呪詛を、アンタら私の代わりに受け止めてくれるの?
アンタらの言う不道徳を正そうとしたのに、何で馬鹿者扱いされなきゃならないの?
選択権はあなたにある ・・・んじゃないの?法律的なことは詳しく知らないけど
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