2012-08-01

映画サマーウォーズヒロインの魅力

映画サマーウォーズを見て、ヒロインの夏希というキャラクター違和感を覚えた。

 

可愛くない。

いや、全く可愛くないわけではないが

学校アイドル」という設定が納得できるほどの魅力が彼女には備わっていない。

 

率直に言えば、用意されたキャラクター(像)に

夏希の声優をつとめた桜庭ななみの声が合致しなかったのではないかと思う。

 

自然少女らしさという点では良い声だったが、桜庭ななみの声をもって

学校アイドル」として納得できるような魅力が夏希に備わっていないように感じる。

 

そこにどうにも不思議違和感があるのだ。

 

もし夏希が、そこらへんにいるような(可愛い)少女として描かれていたならば、この違和感は生まれなかった。

そういう子が物語ヒロインであってもなんら問題は無いと思う。

だがなぜ「学校アイドル」として設定づけられた夏希に、「そこらへんにいそうな少女の声」があてられるに至ったのか。

 

 

そう疑問に感じていた時に、書店とある本を見つけた。

 

細田監督の最新作が公開されるにあたって刊行されたその本には幾つかの対談が載っていて、

夏希を演じた桜庭ななみと細田監督の対談もあった。

 

そこにはオーディションに臨んだ際に

「声の演技は初めてだったし、カミカミだったので落ちたと思った」と語る桜庭ななみ言葉が載っていた。

(ちなみにオーディションでは演技だけでなく監督雑談をして素の声がチェックされたそうだ。)

 

桜庭ななみが夏希役を射止めた理由はなんだろう?

 

細田監督桜庭ななみの声を聞いた瞬間に夏希役を決めたそうだが、

桜庭ななみが演じた夏希に違和感を覚えた私には他に何か理由があるような気がしていた。

 

どこかに自分が納得できるような理由や答えがあって欲しかった。

そして、自分が納得できる答えを対談の中に見つけることが出来た。

 

桜庭ななみは気配りがすごい。

 

しかもそれが計算された感じではなく、相手を喜ばせるような言動が自然に出来てしまタイプのようだ。

ほんの数ページの対談の中でさえ、そう感じるところが幾つもあった。

 

例えば、対談が始まる前に

今日、主役の神木くん監督と対談するってメールしたら“いいな!僕も行きたい”と言ってました」と監督に告げている。

 

監督はもうそこで嬉しくなってしまっている。

彼女は人を喜ばせるのがうまい

 

「実は、(たくさんの人が来た)オーディションの場で、お茶を出して雑談をしたのは彼女ただ一人だった」と

監督が語ったエピソードもそれを裏付けていると思う。

初めて会って数分話しただけで、他の人にしないことをしてあげたくなる魅力が桜場ななみにはあるようだ。

 

また、ラーメンを好きだと言う桜庭ななみに対して「そういえばまたおいしい所を探しておいた」と監督が言うと、

「では最新作のお仕事が一段落したら、是非いっしょに連れていってください!」と彼女は答えるのだ。

相手の仕事を気遣う。同時に一緒に行きたいとしっかり伝えている。

の子・・・デキる!

誘う方がこれほど嬉しくなる受け答えは無いだろう。

 

そして対談が終わりになる頃、当時の作品を振り返って総括を求められると

桜場ななみは「あの作品に参加できた夏が、私の最高の夏でした」と熱っぽく語った。

 

それに対して監督は「嬉しいなぁ!」「ね?夏希はこういう子なんですよ!」

「もういいから今すぐラーメン屋一緒に行こう!(笑)」と言って対談は終わっていた。

 

 

その人と接していると気分がよくなって、持っているものをあげたくなる。

たとえ自分が持っていないものでも、その人のために用意をして与えたくなる。

そんな魅力が桜場ななみには備わっているのだろう。

 

対談を読み終えた私にはもう、彼女が役を射止めたのは当然のことだと思えた。

 

そら純粋に声の演技力だけならばもっと上手い人がオーディションに来ただろう。

ただ「一緒にこの人と仕事がしたい、たとえ未熟でも仕事を与えて成長させたい」と思わせる魅力が彼女もっとも備わっていたのだ。

 

その人と一緒に仕事をしたくなる魅力というものは、何かの実力がある事より時に代え難いものだ。

 

「夏希はこういう子なんですよ」という監督言葉は、

「夏希(を演じた桜場ななみ)はこういう子なんですよ」という意味だったろうか。

それとも監督の中にある夏希というキャラクターが桜場ななみの人柄を受けて変質した結果なのか。

 

私には“用意されたキャラクターに声が合致してないような違和感”の答えがそこにあるように感じた。

 

 

映画サマーウォーズという作品のオーディションにおいて

桜庭ななみが細田監督アイドルという座を射止めた結果、ヒロインである夏希の声が彼女のものになったのだ。

 

本を閉じる頃、私は夏希の声からは感じ取れなかった“桜場ななみ本人の魅力”にもっと触れたいと感じ始めていた。

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