2011-07-11

「3秒ルール」禁止へ 厚労省「微量の病原菌でも危険

厚生労働省は10日、食べ物を落としてもすぐに拾えば食べてもいいとする慣習「3秒ルール」を禁止する方針を固めた。微量でも病原菌が付着する恐れがあるためで、食品衛生法を改正し、罰則をつけることも検討中。乳児やお年寄りなどが深刻な食中毒になるのを防ぐための措置だとしている。

3秒ルールは、主に高校生大学生など、若者の間で広く知られている。はしなどでつまんだ食べ物が床などに落ちても、3秒以内に拾えば病原菌の付着もわずかで問題ないとするもの。「5秒ルール」など、地域によっては設定された時間微妙に異なるものもある。

食中毒問題は今年に入り、牛生肉を加工した食品ユッケ」による死亡例が出たことで注目が高まっている。厚労省によると、同省が今月、ユッケレバ刺し提供を禁じる措置を打ち出したことについて、国民からは「危険性が少しでもあればダメだというなら、3秒ルールも問題ではないのか」とする指摘がファクスで1件寄せられていた。

このため、厚労省研究班が過去30年を調べたところ、3秒ルールによる食中毒が15件起きていたことが判明した。新潟県男子高校生が自宅台所の床から2.5秒で拾い上げたマグロの刺し身を食べて下痢をした(1985年4月)▽埼玉県男子高校生が校庭の砂場から1秒で拾い上げたアイスガリガリ君)を食べて下痢をした(1999年8月)▽福岡県男子大学生トイレ個室の床から2.2秒で拾い上げたメロンパンを食べて1週間入院した(2010年9月)――といったものだという。

禁止規定を盛り込んだ食品衛生法改正案は年明けの国会に提出し、実際の導入は来年秋ごろの予定。他人が3秒ルールを続けているのを見た場合には保健所に通報することも義務づけ、違反した場合には、懲役半年罰金20万円の罰則を検討しているという。

厚労省研究班の班長をつとめる東京衛生大学の清木広教授食中毒防止学)は「今のところ死に至るような事例は見つかっていないが、3秒ルールに慣れた人が親になって、抵抗力の弱い子どもに不潔な食べ物を食べさせたり、自分自身が高齢化して免疫力が弱ってきたりすれば危険だ。不衛生なものを食べるような不適切な慣習を放置できないと判断した」と話している。

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