先週の月曜日、会社に着くと、空気が淀んでいて、ひどくカビ臭かった。そういえば、前日の日曜日、業者の人が、空調機のフィルタを掃除していた。フィルタの入れ替えなんかして、色々ひっくり返した結果、一時的にカビ臭くなったりしたのかな、と思った。
私の隣に、私の10年と少しの社会人歴の中でも、他の群を抜いて “仕事のできない” おじさんが座っている。どう群を抜いているかは、それだけで数エントリ書けるので、ここでは措く。ただ、そのおじさんは、“できない” に加え、日常的に臭いおじさんでもあった。体質的なものもあるんだろうとは思う。ただ、ムラがあることから、清潔に保つという基本的な努力も怠っているんだろうとも思う。
さて、席に着いて感じたその臭いの違和感の元は、隣のおじさんではないかという疑義は、一番最初に頭に浮かんだこと。ただ、その日の臭いは、かなりの広範囲で、且つ “カビ臭い” という類の臭いは、今までそのおじさんから感じたことはない。また、その臭いは一人の人間が出せる範囲を超えている(いや、自分の想像力をはるかに超えていた)と思ったので、やはり空調のせいだろう、と思うに至っていた。
同じフロアの別の作業室に入ると、そこでも臭いの話題が端々で聞かれ、みんな鼻をやられていた。「まあ、空調が不調だということは、それはフロア全体の影響になるだろう」 まだ私は、そんな風に思っていたのだが、その端々の会話の中にポツポツとそのおじさんの名前が入ってくる。
結局やはり、臭いの元はそのおじさんだった。別の作業室の人は、そのおじさんが入ってきたときに明らかに臭いがひどくなることから、おじさん自身の席の近くの人たちより早期に原因を突き止めていたようだ。
臭いに耐えられない人には本当にもう切実なようだった。ある女性の周りは、他で紛らわすべくいい香りがするもの総動員したせいで、デパートの化粧品売り場のような匂いになっていた。リセッシュみたいな消臭・除菌スプレーを買って、道すがら常に散布していた人も2,3名いた。特に深刻だと思ったのは、この現場は今は定時で上がれるような状態ではないにも拘らず、耐えられず早帰りしていた人も数名いて、進捗にすら影響を与えていた点。ある人は、テロだと吐き捨てるように言っていたが、とにかくヒドい状態だった。
私にとっても事態は面倒で、残念ながら私はチーム体制上そのおじさんの上長。自分の中では、臭いの元がそのおじさんだと認識したときから、今日は我慢して明日も継続するようだと手を打とう(帰れ/服着替えてこい/風呂に入ってこい/更に上の上長に手を打ってもらう..etc)と思っていた。でも、そんなヒドい状態になっているのに何もアクションを取らないという罪悪が、どんどん重くなってきている気もして、いたたまれない。また、ただでさえ “できない” だけあって、定期的に言うのも嫌なレベルの説教を繰り返さなければならない理不尽が納得いかないのに、この上、服着替えてこい/風呂入ってこい、なんて指示を出さなければいけない? 冗談じゃない。結局そのおじさんは、基本的な人間関係の構築にも失敗しているから、「またあいつか」と扱われ、耳打ちしてくれる人も持たず、後ろ指を指されるだけで。
翌日には、日常的な臭いに戻り、デパートの化粧品売り場の匂いも、リセッシュの散布もなくなった。私も、嫌な指示を出すことから免れた。ただ、あれから、自分につける香水の量が増えた。
就業規則読み返して上司から指導するように頼んだら? 実害も出てるようだし。外野から言えるのはそんだけ。
「臭い」ってかなり攻撃力の高い言葉だよな。 言いたくないのは分かるが、実害あったんだから言うべきだったね。