2010-10-20

シンガポールの「すごい」官僚制度について

という記事が、ブクマを集めてる。

肯定否定は、半々といったところだろうか。

自分は、10年くらい前に、ほんの少しのあいだ、

シンガポール政府ではたらいたことがある。

末端の官庁で、元記事にあるようなスーパー官僚に会ったのか会ってないのか、

よくわからなかった。気になってしらべてみたんだけど↓、

http://countrystudies.us/singapore/48.htm

http://sunzi.lib.hku.hk/hkjo/view/50/5000233.pdf

30年前の数字しか見つからないが、人口が250万人のところ、

官庁の公務員が8万人弱、

公団とか各種団体のみなし公務員が5万人。

公務員は4つのランクにわかれていて、

トップのDivision 1が公務員の10%から15%。

さらにそのうちの、Administrative Serviceに属するのが、

別名"supergrade"で、これが実数500人以下。

日本でいうと局長クラスらしいが、、、

これが、20代前半の若僧が、入省してすぐになれるのか、

それとも、数千人はいるはずのDivision 1から、

年功と業績で適宜選抜されるのか、そこが大事だと思うんだけれど、

どうもよくわからない。

で、くりかえしになるけど、自分がいたのは大した役所じゃなかったんだが、

最高学府国立大出が何人かいた。たぶん、Division 1だったんだろう。

若い人たちは素直で優秀。四六時中ニコニコしていて、なんだか頼りない感じ。草食系

中年以上は、英語は下手になるけれど、精悍な仕事のできる人が多かった。

だからね、元記事にあるように、公務員試験で厳選して給料バンバンやれば、

国がうまくいきますよ、というのは、ちょっと違うような気がする。

シンガポールシンガポールなりに、太平洋戦争中は犠牲者も相応に出して、

マレーシアとも半分戦争のようになったりして、ずいぶん苦労してる。

日本もそうだけど、地道な努力の結果に、経済発展があったわけで、

官僚制度がよかったからです、で片付けたら、普通シンガポール人は怒るんじゃないか。

とりとめもなく書いていくと、シンガポール公務員天国だったね。

役所にもよるだろうが、仕事は楽だった。あの国での成功者の証のひとつは、

車を持つことなんだ。狭い国だから、いろいろ規制があって、

どんな小さな車でも一千万円くらいかかっちゃう。部下を自家用車に乗せてランチにいくのが、

管理職醍醐味なわけです。もちろん毎日じゃないけどさ、日本じゃありえないでしょう?

大臣クラスだっていう組織のトップの家にも、招待された。ジャングルのなかの一軒家で、

もちろんフィリピン人のメイドさんもいて、アメリカとかヨーロッパ金持ちほどではなくても、

いい暮らしぶりだった。

シンガポール官僚制度がいいのかわるいのか、あるいはそれなしに経済発展は無理だったのか、

自分はちょっと居ただけだし、経済専門家でもないし、よくわからない。

ただ、いいことづくめではないよね。ガラガラの箱モノとか、計画の失敗らしい痕跡もずいぶんあった。

首相世襲したでしょ? 役所のなかでもね、あいつはXXさんの息子だからとか、あったようですよ。

官僚が完全に能力ベースで選抜されてるか、自分はかなり疑問に思う。給料GDPと連動しようが、

人事はどんな組織だって、試験なんかである程度足きりをしたあとは、主観的な評価で決まっちゃう。

どの国もそうだが、富裕層とか指導者層がだんだん固定化して、一種の貴族制度ができている。

シンガポールの町並みは、立派なところは立派だけれど、貧困を感じさせるようなエリア、人々を見る機会は

少なくとも10年前は、東京なんかよりずっと多かった。日本格差社会といわれてるけど、

シンガポールで中流以下の「はじかれ具合」は、気分のいいもんじゃないですよ。官僚天国とは無縁の世界

意味のない選挙とか、政府批判できないとかは置くとして、英語の発音聞いて姿格好みただけで、

どの程度の人間か、inなのかoutなのか、一目瞭然なわけだから。

官僚も庶民も、同じユニクロ着て同じアクセント言葉しゃべってる日本という国は、

まあ貧相だし、どんどん沈んでるけど、それなりに価値はあるわけですよ。

それをね、もうちょっとなんとかしたいから、スーパーエリートに任せちゃおう! ってのは、

やっぱり、安易な考えじゃないだろうか? 人間の質は、どの国の官僚政治家も、そう変わらないと思いますよ。

200人だかの優秀な人間ナントカできるもんなら、アメリカでもどこでも、

今みたいなアホな世の中にしてるわけないし。安定的で迅速な政策決定ができる政治体制選挙制度の構築とか、

起業家を増やすとか、今の日本に見合った方法が、なんかあるんじゃないでしょうかね。すごく地味だけれど。

自分はあまり、わけのわからないエリート様にゲタを預けたくない。

  • 論旨とは関係ないが、シンガポールには「最高学府でない大学」が存在するということでよろしいか? 少なくとも日本には存在しないが。

  • うむ、まあオレたちが考えて自分たちでなんとかするしかないんだろうな。 どうみてもいい大学出たやつだって賢くないわけだしな。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん