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2010-02-18

http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20100215.htm

外国人選挙権導入は憲法違反する

長尾 一紘/中央大学法学部教授
専門分野 憲法学

 この度の原稿依頼をうけて、二つ返事で承知しました。民主党国会に提出しようとしている法案が憲法に明らかに違反するものであり、しかも日本安全保障に重大な害を与える危険な法案であるからです。

国政と地方政治の区別

 外国人地方選挙権の問題につきましては、学説はこれを認めてもよいとする見解(許容説)と、これを導入すれば憲法違反するとする見解(禁止説)があります。私はこの度この問題について論文を書いて、これまでとってきた許容説が誤りであることを認め、禁止説が正しいということを明らかにしようとしました。なぜ学説を変える必要があったのか。この点について述べることにしたいと思います。学説変更が個人的な心境の変化などではなく、日本の位置する国際環境の変化、そして日本人国家意識の欠如の認識にもとづくものであるからです。

 もともと、国政選挙は許されないが、地方選挙ならば許されるとの見解(許容説)は、国政と地方との切り離しが可能であることを前提としています。ところが、この数年の間にこの切り離しができないことが常態になっています。

在日の二重の選挙権

 まず日韓問題をみることにしましょう。昨年2月に韓国では選挙法が改正され、在日の方々は、日本にいながらにして大統領選挙、そして国会議員比例選挙投票権をもつようになりました。そして韓国内で居住申告をすれば、国会議員選挙区選挙投票権のみならず、地方選挙選挙権被選挙権ももちうることになりました。しかも、居住申告は、日本における住民登録をそのままにして行うことができます。永住資格を失うことなく居住申告ができるのです。現在居住申告者の数は6万人を超えるといわれております。このようなことは、在日の方々が韓国国民である以上喜ぶべきことであると思います。しかし、日本選挙についても選挙権をもつということになると、話はまったく別になります。在日の方々は、二重の選挙権をもち、日本一般国民よりも、より高い有利な地位に立つことになります。これよりも重要なことは、忠誠の問題です。

過ぎたるは及ばざるがごとし

 韓国政府は、選挙対策上も、日本に対して強い態度をとらざるをえないのが実情です。いずれ、対馬問題が日韓の重要外交問題に浮上するものと思われます。北方領土竹島尖閣諸島などの問題で、日本領土であることはまったく明白な事実であるにもかかわらず、常に後退を繰り返してきた歴代政府の失政のつけが回ってきました。ついでにいえば、対馬のつぎは、沖縄ではないかとの声も聴かれます。日韓問題に話を戻せば、対馬市有権者は、約3万人です。市議会議員最下位は685票です。外国人選挙権が導入されれば、対馬韓国領土だとする議員が数名は当選することになるでしょう。

 国際平和は、隙を作ることによって破綻します。友人を同居させ、家族会議にも同席させて発言権を認めるようなことをすれば、必ず友情は破綻します。相手方に無条件の譲歩を重ねることが友情の絆になるわけではありません。外国人選挙権は、自分ファミリー家族会議に友人の参加権、決定権を認めることに等しいということに留意する必要があります。

EUは参考にならない

 EU諸国の例はまったく参考になりません。ドイツの例をみることにしましょう。EUにおいて、構成国相互の地方選挙権保障が決定されたとき、ドイツ政府は大変困りました。外国人選挙権導入は、民主主義国民主権に反することから憲法違反するというのが通説の立場であり、また連邦憲法裁判所の立場でもあるからです。民主主義は、国民自己統治を要求します。国民主権は、国政の決定権は国民のみに属することを要求します。ドイツは、やむを得ずして憲法改正をしました。憲法改正後の現在でも、EU市民以外の外国人選挙権を与えることは、憲法違反するとされています。ちなみに、フランスも、憲法改正を必要としました。日本におきましても、憲法が改正されない以上、外国人地方選挙権を与えることは違憲であるとみるべきです(国政選挙権については、憲法改正そのものが不可とされております)。

外国人選挙権の問題は安保問題である

 外国人選挙権問題は、在日問題から、日中問題に重心を移しつつあります。中国人永住者は、現在、約14万人おります。1年間に約1万人づつ増加しております。在日韓国人との間で数が逆転するのは、単純計算でも17年後です。実際にはずっと近い将来に逆転するものと思われます。外国人選挙権が導入されると、対馬と同様の問題、さらにいえば比較にならないほどの深刻な問題が日中間に生じうることになります。日本最南端の与那国島でおこなわれた町長選挙では、自衛隊誘致が主な争点でしたが、当落の票差はわずか103票でした。沖ノ鳥島について、中国は岩礁にすぎず日本の領土とは認められないとしております。この島は小笠原村に属しますが、この前に行われた村長選挙では、得票は713票でした。外国人選挙権が与えられた場合、このような地方外国人が移住し、選挙を左右する事態が生じうることは容易に予測することができます。日中の間において友好関係を維持するためには、最低限度の距離をとる必要があります。過剰の優遇は、多くの場合友情を破壊するという結果をもたらします。家族会議メンバーに友人を加えるような愚は、さけなければなりません。いたずらに対立と緊張を高めるだけのことです。外国人選挙権法案は、日本の安全を危機にさらすだけでなく、国際平和を害することになります。

地方が国政を決定する

 いまや地方選挙の結果がそのまま国政を左右する事態になっています。沖縄名護市選挙では基地反対派の市長当選しましたが、鳩山総理は、この住民の意思を尊重する旨の発言をしております。日本安全保障の問題は、国政の根本問題です。国政の根本問題が自治体選挙の結果如何によって左右されるという事態は、原則的にあってはならないことです。1000名程度の住民が日本の国政の基本問題を決定するという事態は、議院内閣制本来の趣旨からも問題です。このような事態は、国家意識の欠如、防衛意識の欠如という特殊日本的な現象からきております。このような日本固有の特性は、近時ますます顕著になっているようです。他の国において明確に区別されうる国政固有の問題(軍事、外交、領土などの問題)と地方自治体レベルの問題が日本においてだけ区別されえない事態になっております。このような事情が続くかぎり、地方選挙への外国人参加は、結果的に国政そのものに外国人ないし外国重要な影響を及ぼすものとして、国家主権、国民主権、そして民主政治原理に反するものとされなければなりません。

外国人に対する公約

 ちなみに、外国人の背後に外国政府の意志が働いていることは決して珍しいことではありません。民団は、在日韓国人組織ですが、その運営費の6割から7割が韓国政府補助金によるものであることは周知のとおりです。したがって、民団選挙権要求は、韓国政府の要求でもあります。民主党民団に対する選挙権実現の公約は、外国政府への公約ということになります。いうまでもなく、公約は、通常の国では国民に対してのみおこなうものです。日本における国家意識の欠如は異常の事態に達しているといわねばなりません。民団がこれに対応して昨年の選挙において、組織をあげて民主党選挙運動に取り組んでおります。ちなみに、韓国では、外国人選挙運動に参加すれば懲役3年以下の犯罪として罰せられます。

 外国人選挙権については、数え切れないほどの問題点がありますが、スペースの都合もあり、在日問題、日中問題のみに絞りました。これだけでもいかに危険な法案かということがおわかりかと思います。

着々と反論の素材が集まりつつあるみたいだけど、はてなあたりにたむろしてる賛成派はどうすんの?

「どうせ小沢が強行するから反対しても無駄なのにな。プゲラ」とか言ってんの?

2009-09-11

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009091102000049.html

維持費数十年分<中止コスト 八ッ場ダム算用 国交省

 民主党建設中止を目指す八ッ場ダム群馬県長野原町)が完成した場合、年間の維持管理費は八億~九億円と国土交通省が試算していることが、同省への取材で分かった。利根川水系上流域の既存六ダムの実績から概算したという。国交省は「数十年分の維持管理費を含めても、建設中止の方が高くつくのではないか」とみている。建設と中止のどちらが無駄なのか。ダムをめぐる議論が白熱しそうだ。

 国交省によると、既存の藤原ダム▽相俣ダム▽薗原ダム矢木沢ダム奈良ダム▽下久保ダムについて、二〇〇三~〇七年度までの五年で、年間の維持管理費を平均すると、八億三千六百万円だった。

 工法などが異なるダムもあるが、八ッ場ダム(貯水量一億七百五十万トン)の維持管理費を試算してみると、同じタイプで貯水量が一・二倍の下久保ダムの維持管理費(年平均九億一千七百万円)をやや下回るという。

 建設か中止かについて、国交省は、新しい国交大臣の判断に従う方針だ。ある幹部は「建設中止で治水、利水効果を放棄しても、建設費と数十年分の維持管理費の合計を上回る中止コストが新たに生じかねない。その問題をどう乗り越えるのか」と心配している。

 国交省の説明によると、八ッ場ダム建設を中止すると、ダム本体工事関連約六百二十億円は不要になるが、特定多目的ダム法で約千四百六十億円を利水関係五都県に返還する義務があり、差し引き約八百四十億円の新たな負担が国に生じる。

 これに加え、六都県から治水関連の直轄事業負担金最大約五百二十五億円の返還を求められたり、ダムを前提に建設する付け替え道路など本年度以降の生活再建関連事業費最大約七百七十億円の負担を下流域の都県が拒否したりして国の負担が増える可能性もある。

◆下流自治体『水源確保に影響』

 八ッ場ダム建設推進派は、ダム下流六都県が支出した直轄事業負担金や、ダム完成を前提に五都県が取得した暫定水利権利根川からの取水)を盾に中止撤回を主張する。主張は妥当なのか。異論もある。

 利根川の支流に建設中の八ッ場ダムは、水道用水供給や治水などのための多目的ダム。今年十月に本体工事に着手し、二〇一五年完成の予定だった。総事業費は約四千六百億円。残るのは本体工事と住民向けの生活再建関連事業の計約千三百九十億円だ。

 ダム下流都県は、二〇〇八年度までに執行された事業費約三千二百十億円のうち、治水関連で直轄事業負担金約五百二十五億円と、利水関連で約千四百六十億円をすでに負担した。

 下流自治体知事らは「建設中止なら負担金の返還が必要」「中止の方が継続よりコストが高い」と強調。

 これに対し、ダム見直し派の市民団体「八ッ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長は「各都県が事業に賛成して支出した費用で、国に返還義務は生じない」と反論する。

 建設中止で暫定水利権は失効する。暫定水利権の割合は、ダム完成時に供給される水量の約半分に及んでおり、下流自治体は「水道水や工業用水などの水源確保に影響が出る」と訴える。

 ダム事業を疑問視する「八ッ場ダムを考える一都五県議会議員の会」代表世話人の関口茂樹・群馬県議は「水は足りており、現在の水利権行政を改めれば、ダム建設しなくても水利権配分は可能。生活に必要な水源の確保と、不要なダム建設事業を早急に切り離すべきだ」と反論している。

◆中止公約に反発 住民協議会設立 推進派300人参

 八ッ場ダム建設中止を掲げる民主党に反発する地元群馬県の住民や県議らが十日、事業継続を求める「八ッ場ダム推進吾妻(あがつま)住民協議会」の設立総会を同県長野原町で開いた。約三百人が参加し、町長や住民代表らがダムの必要性を訴え、中止撤回を強く求めた。

 同県の大沢正明知事は「関連都県や市町村へ相談がないまま、ダム本体工事の入札が延期されたことは言語道断」と国土交通省の対応を批判。長野原町高山欣也町長は「中止はダム完成を前提とした住民生活を脅かす」と強調した。

 同協議会長に選ばれた八ッ場ダム水没関係五地区連合対策委員長萩原昭朗さん(77)は「住民との約束を一方的に破ることは許されない」と憤りをあらわにした。

官僚が用意した数字は信用出来ない」by鳩山由紀夫

中止を強行して本当に出費がかさんだらどうするつもりなんだろ。

「どうにもならなかったら、ごめんなさいと言えばいいじゃないか」by藤井裕久

2009-09-03

俺の住んでいる田舎町における生活保護が変わる、らしい。

民主党政権になって補正予算が凍結されるのを見越して、生活保護を受けている世帯の締め付けをやらなきゃいけないらしい。

嘱託職員で窓口になっている叔母の話なんだけどね。

うちの町では、生活保護は国からの金に頼っている。それも、最近失業者増によって補正予算にかなり頼っているそうで、凍結されると生活保護費の支出で他の部分かなりの影響が出る。

かといって窓口に来た人が保護要件に適合している場合「金が無いので支給できません」とは言えない。

なにせ国の義務だから。

道路工事とか激減して公共事業はショボい、本屋靴屋服屋といった商店がどんどん閉店、生活保護申請は増える、公共設備耐震工事はしなきゃいけない、上下水道も直さなきゃいけない、ゴミ回収しないと町が物理的に腐る、ということでみんなが働ける場所は減りまくってるのに支出は変わらないどころか増えているので、町には金が無い。

ところが頼みの国は、三日たつと言うことが変わる政権(が誕生する見込み)で、こと予算に関しては正直いって固まるまで全然信用できない。もしかしたら固まった後も信用できない。

窓口に毎日人は来る、でも払う予算がどうなるかは現場どころか町長ですら分からない。

仕方がないので、生活保護に使う金を削るということになった。

生活保護憲法保護された権利だからいきなり打ち切ることはできないので、まず受けている世帯に就労指導というのを出して、とにかく働いてもらう。で、理由はどうであれ、指導に従わない世帯生活保護を打ち切るという手順をふむことになった。

問題は、うちの町には働ける場所がないということ。

割と頻繁に募集しているのはコンビニだが、そこだって欠員が出ればすぐに埋まるほどなので、どうしたってあぶれる人が出るのは指導を出す方だって分かりきっている。

問題はそのあぶれる人間。雇う側としては長く続けてくれるバイトの方がいいのは当たり前。

すでに40代後半になっていて人生半分諦めているような人はともかく、真面目に就職活動やって正社員になろうとしている若い人や、まだ小さな子供抱えているシングルマザーは、バイトは従にせざるをえない。

かといって、そういった人たちを役場で緊急雇用みたいなことはできない。補正予算でやっていた事業だから、予算が凍結されたら当然消える。

つまりどうなるかというと、ちゃんと就活していたりやるべき役目を果たしている、本来保護しなきゃいけない人から生活保護を打ち切られる可能性が高くなる。

叔母と係長で就労指導を出す世帯の洗い出しをしているそうだが

民主党を支持したのは生活保護一歩手前とかすでに踏み込んでいる人が多いみたいだけど、こうなるって分かってたはずなのにねえ」

とは叔母の弁。かくいう叔母も、補正予算が凍結されたら来年度の契約更新はないらしい。

知らないことが罪ってこういうことなのかな、と漠然と思った。

2009-09-01

http://anond.hatelabo.jp/20090901221758

そもそもネット右翼のいう「日本終了」ってどんな状態なの?

●その1 http://blog.livedoor.jp/monster_00/archives/cat_847822.html

増田に「公明党小選挙区全滅w創価ざまぁ」とかカキコ → 特定宗教の構成員に対する差別発言だ! → 人権委員会が自宅に強制立ち入り → 氏名等を含む個人名の公表 → 自殺と見せかけてマンション非常階段から転落死 ((;゚Д゚)ガクガクブルブル

●その2

対馬市人口3.5万人)に4万人在日が移住 → 韓国人市長誕生対馬ウリナラの領土ニダ!!

隠岐の島町人口1.5万人)に2万人在日が移住 → 韓国人町長誕生独島ウリナラの領土ニダ!!

2009-02-22

昨日は大変な目にあったわ、と思ってみて、そもそも昨日がどんな日だったのか忘れていることに気がつきました。どうもこの頃もの忘れが激しいようで、夕方になると今日の朝のことまで忘れている始末で、例えば洗濯機に入れていた洗濯物のことを忘れて生乾きの服を夜に家の中に吊り下げて乾かさなくてはならなくなったり、昼にカレーライス社員食堂で食べてくるから、とお父さんが言っていたのを忘れてハヤシライスを作ってしまったり、同じ週刊誌を発売日に買って、違う日に「あ、これ買ったかしら。面白そう」ともう一度買ってしまったり。そういうことがよくあるのです。お前はボケてきたんじゃないか、とお父さんは言い出すのですが、反論できないのが悲しいです。自分自身、やっぱりとぼけ人間なんだなあと、今日買ってしまった三冊目の月刊誌の最新号を見ながら、つらつらと思ってしまうのです。

ところで、初春を迎えたからかどうか、ともかく暦通りに世界ではなべてこともなく時間が過ぎているようで、二月になったこのあたりでは既に河川敷や土手にたんぽぽ菜の花が咲いているのが目立つようになってきました。時折雪が舞い散ることがあるのですが、雪に半ば埋もれて凍ってしまったたんぽぽというのもなかなか趣深いものがあります。そう言えば昔、推理小説で夏なのに島に雪が降るという出来事の起きる作品を読んだことがありました。あれは何だったかしら……向日葵畑に降る雪のことを想像すると、なんだかとても素敵な風景に思われてきて、わたしは思わず自分の膝の上に乗せた美代子に万歳をさせて、雪が降ったらお前はやっぱり炬燵の中で丸くなるのかにゃ? と話しかけてみました。美代子は軽く欠伸をして、わたしの体から離れようとするので首根っこをがっちり掴んでやりました。ネコの分際で人間に逆らうとはふてえ奴。

あ、あらわたしったら。すみません。

ともあれ、美代子とわたしはそうして縁側に座って外の光景を眺めています。そうすると空から何かが降ってきたので、また雪が降ってきたのかなあ、お前はなんでそんなに寒いのが嫌なんだいねえ、と美代子に話しかけていると、それが雪ではないことに気がついたのです。それは家の裏山に生えているダイオウスギの花粉でした。ダイオウスギといってもわたしの家の裏山にしか生えていない突然変異種のスギですから皆さんは御存知ないかとは思います。ダイオウスギの花粉というのは普通花粉よりもずっと大きいのです。

なにしろダイオウスギ自体が普通のスギよりもずっと大きいのです。空に突き刺さるかと思うほど太くて鋭くて大きくて、わたしが五人いてやっと樹の幹を囲えるかどうかというくらいの樹です。近所の人からはダイオウスギが他のスギや木々栄養を奪い取っているんじゃないかと何度も伐採されそうになりましたが、わたしが必死に思いを敢えて何も言わないという形で伝えるべく無言電話町長の家に500回ほどかけたところ、やっとおとなしくなってくれました。そのことをそもそもダイオウスギを植えた死んだ祖先のことを考えると、誇らしくなります。美代子の体に生えている毛を毟り取りながらそんなことを思います。美代子はすっかりぐったりしてしまったようですが、毛を毟られるとびくん、と痙攣しギャン、と大きな声をあげます。可愛い子です。

スギから放たれる花粉が少しずつ積ってきます。そう言えば花粉症に悩まされる人がこの時期は多いとか。国民の一割の人が花粉症に悩まされていると聴くのですが、ダイオウスギの花粉はそれこそ手で摘めるほど大きい粒なのでそれが鼻の穴に入ることはあまりありません。あったとしてもマスクをして歩けばそれだけで十分防御できます。わたしは花粉症ニュースを見るにつけて、我が家先祖が植えた突然変異体のダイオウスギを世界中に植えれば花粉症は壊滅するのではないかと思います。もっとも花粉そのものを全身に被ってしまったことでアレルギー症状を起こして毎年死者が出ることもあるし、宙を舞う花粉が眼に入ってよく学校帰りの子供たちが自転車で転んで川に落ちたりしています。帯に短したすきに長し、というものなのでしょう。

こう思っていると何故か、とても裏山に行きたくなりました。子供の頃のようにダイオウスギの根元に行って、空から降ってくる花粉を浴びたいと思いました。わたしは別にダイオウスギの花粉アレルギーを起こすことはありません。もみ殻と同じで、ちょっと体が痒くなるくらいです。わたしは美代子の首根っこを掴んだまま、サンダルを履いて外に出ました。

外に出ると広場で何か火の手が上がっています。騒ぎになっています。火事? でも広場だから燃えるようなものなんかないと思うのですけど、一体なんなんでしょう。わたしは行ってみました。すると、広場で中学生たちが花粉が降りしきる中、暴れていました。中央に燃えるものがあって、それが子供たちに囲まれているという状態です。何かしら?

それはリムジンでした。中学生たちはリムジンを真ん中において、シートかどこかから火をつけて、そのリムジン燃える中を囲んで踊っているのです。ブランキー・ジェット・シティの歌そのままの光景です。あらあら、足元にいくつか瓶がありますわ。火炎瓶もあるのでしょうけれど、男の子たちが飲んだテキーラの瓶も幾つか見られます。テキーラの瓶の中にはトカゲが入っています。あの子たちったら、酒屋に強盗に入って上物の酒を奪い取った後、リムジンを盗んで広場で火をつけて遊んでいるのですね。若いというのは羨ましいものです。すっかりおばさんになってしまったわたしにはそのやんちゃさがとても好ましいもののように思います。

あの子たちったら若いわ。素敵。好き、大好き!

わたしはさっそくその広場に行って、おばさんも混ぜて頂戴、と彼らのひとりが持っているテキーラを手に取ろうとしました。すると男の子のひとりが、クソババアは縁側で玄米茶でも飲んでろ、と言ってテキーラをわたしから遠ざけました。なんて素敵な罵りの言葉なんでしょう。こうした言葉が吐けるのも若さならでは。だったらわたしは大人としてこの子たちを調教、いや矯正してあげなくてはなりません。

大人を舐めるんじゃねえぞこのションベンタレが! とわたしは絶叫して、広場の隅っこにあった金属バットを(その広場は子供たちがよく野球場として使っていたので、そうしたバットがたまたま置いてあったのです)降り回し彼らの脳天をジャストミートさせました。ひとりだけ逃げようとするヘタレ野郎がいたからそいつには特別に手足の四本の骨が折れる音がするまで痛めつけてやったぜ、けっ、大人を舐めるなこの糞ガキが。

あ、わたしったらやだ。すみません。

いったい何の話をしていたのでしょう。すっかり忘れてしまいました。私は手に持っていた美代子を火の中に放り投げると、悲鳴を背後に夕食のピザトーストを作るべくまた家に戻りました。振り向くと花粉は倒れた中学生たちの身を包み、そして覆い隠してしまいました。日に触れた花粉燃えて火の粉となって舞い散る光景が素敵です。お父さんのトースト睡眠薬を仕込んでくたばったあとにまた来てゆっくり眺めようと思って、私は家路につくのです。明日はどんな日になるのでしょうか。そうです忘れてしまった昨日ではなく明日のことを考えましょう。私のおじいちゃんの口癖でもありました。明日が楽しみである。

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