超サイコパス連続殺人鬼と、彼に筋弛緩剤を打たれるも逃げ出した女性の戦いを描くソリッドシチュエーションホラー。
全体的にこじんまりとまとまった良作ではある。
前半では「筋弛緩剤の影響が出てくる=やれることがどんどん減っていく」という緊迫感があり、
後半では「筋弛緩剤の影響が薄れてくる=やれることが増えていく」という期待感がある。
一粒で二つのフェーズが楽しめるのはよく考えてるなーって感じ。
ただ、いかんせん、この「筋弛緩剤の効き方」がお前のさじ加減すぎる。
「いつどうなったら」 「何ができるのか」 「何ができないのか」がほとんど明示されないので、
こっちも心の中の指示厨を出しづらく、没入度が下がる。
こういうのって「ああすればいいのに、こうすればいいのに」って見ながら考えて
その通りになってドヤってなったり、うまく裏切られて「それがあったか~」ってなったりする楽しさがあると思うんだけど、
基本的に、いや、こいつ今何ができるん?ってターンがずっと続くのでなんか盛り上がらない。
そのうち「体が動き始めたときに一時的に能力が向上するがそれは長く続かないんだ!」とか言い出すし。
そのルールは知らんかったわー。
サイコパス連続殺人鬼も意外とガバというか衝動的犯行が多すぎて、
いやこいつ放っておいても絶対そのうち捕まってただろって感じであんま強キャラ感がないのも気になった。
自分の獲物以外は「衝動的に殺す→燃やす」しかパターンねーんだもん。
現状でも60~70点くらいはある映画だけどもうちょっと丁寧に作ってもよかったんじゃないかなって感想。
本編の時間を90分くらいに収めているのは好印象。これくらいでいいんだよ。