2024-10-19

君はどう思って身を投げたのか

土曜日、待ちに待った週末だ。

君にはどんな景色に見えたか私たちは知らない。

人身事故が起きたのは一目でわかった。

群がる人だまりブルーシートを広げる駅員。

いつも通る踏切の前だった。

駅に向かうとけたたましいサイレン階段に座り込む人々でまさに混沌を極めていた。

昔、電車身投げしたことがある。

いや厳密にはすんでのところで止められたのだ。

見も知らぬおばさんに手を引き止められ大声で怒鳴られた。19歳のときだ。

家出しようと思って友達既読無視されたとき、ああ自分は誰から必要とされていないんだと思って身を投げた。

その日は土曜日だった。

電車身投げしようとする思考を私は知っている。

自分死ぬことで嫌な思い出として他人の中で生きたい」

実際本当にそうなると思っていたのだろう。そう思いたかったのだ。

でもたった50分で電車は復旧して、もう90%の人は運休の話をしていない。

君の策略にいとも簡単に嵌っているのは、この世界で私しかいないんじゃないかと思ってしまうくらいだ。

歩いて隣町に向かったのも友達との予定が遅れたのも、何も迷惑に思えない。

もちろん私の尊大自尊心が揺らいでないとはいえない

でも君はこんな日に何を思って身を投げたのだろう。

明日日曜日

暑さが止んで、これから始まる秋に何を思って身を投げたのだろう。

今これを書きながら、電車に乗っている。

私は君になるかもしれなかった人だ。

明日もただ自分のために金を稼いで疲れて寝る。

君はそうなりたくなかったのかもしれない。

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