2024-09-27

anond:20240927204921

位相空間開集合族ではなく近傍系で定義する方法について説明する。

定義

集合 X に対し、各点 x ∈ X に対してその点の近傍系𝒩(x) が割り当てられているとする。このとき、以下の公理が満たされるとき、これらの 𝒩(x) によって X 上に位相構造定義される。

1. 自己包含性:任意の N ∈ 𝒩(x) に対して、x ∈ N。

2. 包含関係の保存:任意の N ∈ 𝒩(x) と N ⊆ N′ ⊆ X に対して、N′ ∈ 𝒩(x)。

3. 有限交叉性:任意の N₁, N₂ ∈ 𝒩(x) に対して、N₁ ∩ N₂ ∈ 𝒩(x)。

4. 近傍基準任意の N ∈ 𝒩(x) に対して、ある N′ ∈ 𝒩(x) が存在し、N′ ⊆ N かつ任意の y ∈ N′ に対して N ∈ 𝒩(y)。

解説

この定義では、各点 x の近傍系 𝒩(x) を直接定めることで、位相空間構造を構築する。近傍系は点ごとの局所的な性質を反映しており、これにより開集合概念を介さずに位相的な議論可能となる。

公理の詳細:

1. 自己包含性は、近傍がその点を必ず含むことを要求する。これは近傍基本的性質である

2. 包含関係の保存は、近傍を含むより大きな集合もまた近傍であることを示す。これは近傍系が包含関係に対して上に閉じていることを意味する。

3. 有限交叉性は、有限個の近傍共通部分も近傍であることを保証する。これにより、近傍系はフィルター構造を持つ。

4. 近傍基準は、任意近傍に対してその内部に「より小さな近傍存在し、その近傍内の点全てが元の近傍を共有することを要求する。これは位相空間局所的な一貫性保証する。

位相の導出:

近傍から開集合系を導出することができる。具体的には、集合 U ⊆ X を開集合定義するには、任意の点 x ∈ U に対して U ∈ 𝒩(x) が成り立つこととする。このとき、これらの開集合全体の族は位相公理を満たす。

双対性

逆に、開集合から近傍系を定義することも可能である。各点 x の近傍系 𝒩(x) を、x を含む開集合全体と定義すれば、公理を満たす近傍系が得られる。

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