2023-11-11

図書館喫茶室が好きだった

県立図書館に入っている喫茶室が子供の頃大好きだった。一通り好きな本を読んで、借りる本を選んだ後に立ち寄る喫茶室。街中の喫茶店より狭くて、整理整頓されているけれどどこか色気の欠けた内装をしていて、メニュー数も少ない喫茶室。やる気があるのかないのかよくわからない静かな店主。飲食店として見ると決して充実しているとは言えなかったけれど、自分にとってはすごく特別場所のように感じていた。

無味乾燥とした図書館廊下から喫茶店に一歩足を踏み入れた時に感じる食べ物香りピラフミートソーススパゲティホットケーキも、決してすごく美味しいというわけではない。むしろ妙にこざっぱりとした深みのない味わいのメニューばかりなんだけれど、飲食してはいけない図書エリアのすぐ隣で食べ物を頬張る背徳感みたいなのもあって、他の飲食店では味わえない特別気持ちを味わえる場所だった。

最近公営図書館に併設されている喫茶室も小洒落ものが多くなってしまって、あの薄っぺらい味の料理や妙に事務的雰囲気を味わえる場所も少なくなってしまったけれど。あの特別空気感自分の中の大切な人生ピースになっている。

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