たぶん「チェーザレ」が好きで「チ」に影響された。あるいは「チ」っぽいのを作れと編集に言われたのか、とりあえず似てると思う。
それは悪いことじゃないんだけど、チェーザレとチという最高の教材があるのにそれをちゃんと参考にできていない。
2話まで読んで思うのは話がのっぺりしてるということ。
まずトトがなんで物凄い人を救いたくて人体のことを知りたいのか?という動機がない。
苦しんでる人を助けたいというのは分かるが虐められて親から罵倒されてそれでもやりたい!というエピソードがないから読んでて??となる。
あとのっぺりしてる理由はダビンチが動かないからだと思う。作中でダビンチはトトに「語る」だけで何もしていない。
例えば、腕をつなぎ合わせる場面でダビンチの見せ場を作ってそこでトトに「何者だこの人は!?」と思わせればトトがダビンチに惹かれる理由も描けるしダビンチの凄さも伝わる。
なんでモノローグで終わらせたのか。
とにかく他にあれもこれも気になる。全部言わないけど、要するに見せ方が下手なのだ。
俺なら1話冒頭で死体を掘り起こしていたんだから、半分腐った死体を解剖するシーンから話を始める。ほかの人も言ってるが読者はグロテスクで汚いものも見たいのだ。
死体を解剖しながらトトの恐怖・後悔・好奇心いろいろ混ざった表情を読者に見せる。
ダビンチは余裕の表情でトトを軽くいたぶりながら博覧強記の知識でトトを圧倒する…みたいな。
二人は腐った心臓や肺を愛おしそうに眺める。読者からするとただのホラーな場面なんだけど登場人物たちには貴重な観察の機会だ。
こうやって読者とキャラの心情にわざと距離を作って引き込ませる。
結論としては題材は良い。話も丁寧。だけど工夫が足りない過ぎるという感想になるだろうか。
読者があなたの作品を読んでくれるのは当たり前 なんて思ってはいけないのである。1ページ、1コマでも読者を分かりやすく楽しませる工夫が必要でそれがなければ読んでくれる人はいなくなる。
と、ド素人が批評家気取りで申しております