その中で、気になりながらもうまく進められず止まっていた案件があった。
先輩(管理職ではないが、実質的に当部署の支配者)がそのことに気づいてくれて、「明日からやろう」と言ってくれたから、やり方を教えてくれるものだとばかり思っていた。
しかし、翌朝に出勤した途端、目の前に突き出されたのは「成果品」だった。
前日の夜にやったらしい。定時後、他部署から応援(横のつながりで個人的に頼んだらしい)まで呼んで仕上げたと。
私がやっていた業務のすべては、誰かの片手間で短時間のうちに片づけられることが実証された瞬間だった。
私は存在意義を失った。
その後も、先輩は私の途中経過に誤りがあったことを静かに責め立て、仕上がりが遅いことを遠回しに批判し、それは組織全体や大勢の客の迷惑になると延々なじり続けた。
甘かったんだよな、何もかもが。よく考えてみれば、先輩が簡単に教えてくれるわけがない。
今まで散々いざこざがあって、部署内の関係性は非常に険悪だった。そこに優しい言葉が降り注ぎ、安心してしまったのが悪かった。安心できる状況ではないはずなのに。
私にはできそうにない。