実家のすぐ裏に、こちらのキッチンの窓にピッタリ付きそうに密着した家がある(仮名U)。
こちらのキッチンの換気扇が、U家のリビングの窓に面しているらしい。
私がまだ幼い子供だった頃、母が揚げ物をしていたら
「嫌だ!なにこの臭い!部屋の中が油臭くなるじゃない!今すぐやめろよ!」と
母は慌てて調理を中止し、晩のおかずは他のものに変更となった。
服に、醤油や脂の移り香が酷くなった。
あれから何年経っても十数年経っても、
扉を開けると、「うっ、またか…」となる。
私の母はU家の主婦の機嫌を損ねるのを怖がって、
見て見ぬ振りを続けてきた。
「うるっせーな!なんだよてめぇはよぉ!」
「何回同じこと言わせんだよ、このクソ野郎が!」
U家の換気扇の吹き出しは、私の家に入り放題だが、こちらは換気扇を点けられない。
向こうのテレビの音は漏れても、こちらの音は聞こえよがしに文句を言ってくる。
その為には、私が頑張らなければ。