オエー。さっきまでの自分が心底気持ち悪くて吐き気がする。身体が視たい身体に触りたいセックスがしたい。性器に触ってるとそんなことしか考えられないのか。
いや糾弾するべきはそこじゃない。そんな妄想を繰り広げているときに、自分に都合のいい美化しきった相手を想像していたのが問題なのだ。「相手はきっと性的なことに興味があるはず」「相手はきっとよがるはず」オエーオエー。お前は、大して交際を重ねてもいないのに、やりとりした言葉の小さな端だけ選び取って、自分の欲望通りの受け答えをする人格の造形(もはや人格ですらない。ラブドールか何か)を創り上げ、妄想の中でヨイサヨイサとやっていた。
はい、私はやっていました。現実の行為に及ばなくてよかった。死刑です。
相手の気持ちは分からない。分からないからこそ、自分の行為の結果を想像して相手の形に投影するのかもしれない。それでも。たとえ妄想の中であったとしても、領分は弁えることだ。自分の都合で相手の形をしたラブドールをつくるな。知りたかったら、知らないことを弁えて、聞くしかない。それを知らないふりして、勝手な形を妄想するのは最悪だ。