2020-08-15

裁縫箱の中の土偶

裁縫箱には雑多なもの無秩序に入っている。

針や糸や鋏など裁縫に使うものはもちろん、洗濯ばさみ、クリップ、壊れた安物ネックレスシャーペン、もう捨てたミシンのパーツ、そして元はキーホルダーチャームであった土偶

              

土偶は有名な遮光器土偶ではなく、調べてみると中国武人をかたどった埴輪であるらしい。

え、土偶ではなかったのか。

今の今まで、おそらく10年以上、裁縫箱に土偶があると思っていたが、土偶ではなく埴輪だった。

シンプルデザイン土偶改め埴輪は、親指くらいの大きさで素焼き。腕は無く腕の位置に穴が開いていて、キーホルダーだった時には穴に紐が通っていたような気がする。

              

この埴輪がなぜ家にあるのかわからない。

裁縫箱に入れる前は、どこかの土産物のしわくちゃの小袋に入っていた記憶はある。家族の誰がが旅行先で買ったものだとは思うが、埴輪土産物になるような場所が思い当たらない。少なくとも家族旅行では行っていないはずだ。

裁縫箱に入れた経緯もよくわからない。片付けをしていて、小袋が破けたかどうかして、手近にあった裁縫にとりあえず入れた…と言うことなのだろうが、まったく記憶にない。

いつ壊れたのかも記憶にない。キーホルダー部分を捨てた覚えもない。ただ、埴輪部分だけがつの間にか裁縫箱の隅にあった。

              

そんなこんなで印象の薄い埴輪だが、今手にとってみるとなかなかいい顔をしている。穏やかでゆるくほほ笑んでいる。

10裁縫箱の中でほほ笑んでいた。特に捨てる気もないし、他の適切な場所しまい直す気もないから(適切な場所とは?)、これから裁縫箱の中でほほ笑み続けるのだろう。

この土偶…、改め埴輪は。

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