2020-07-26

酒盛幻想

缶チューハイを一本飲んだだけで翌日が台無しになるくらいに酔うのでほとんど下戸つってもいいくらいなんだが、そのくせ酒を飲むという行為に憧れがある。

ギョーザ唐揚げなんかを食うと「これで冷えたビールをやれたら最高!」と思うし、ちょっといいチーズを食うとワインがあればなあ!なんて言ってみる。実際にはビールワイン全然飲まないし、飲めない。

酒に弱いし大してうまいとも思わないってことは経験的に知ってるはずなのになぜか頭のなかに「最高の酒盛り」みたいな概念があって、ツマミ的なものを見るたびにそれが鎌首をもたげる。

エビスビールなんかを買って、自作餃子をたくさん焼いてグワーッと一発やってみようかな。でもそうすると頭の中の酒盛幻想がいよいよ本当に実現可能性をなくして泡と消えてしまう気がする。

缶チューハイまれに飲むくらいがいいんだろう。アルコール雰囲気だけ覚えておいて、あとの部分は想像力で補う。揚げ物を食うときビールの喉越しや冷たさを想像して楽しみ、牛すじを食うとき日本酒の玄妙な味を思う。それが俺にできる最高の酒との付き合い方なんだろう。

本当の酒盛りをすると「最高の酒盛り」が霧散してしまって楽しみを失ってしまう。人生で初めて買った宝くじで一等当選!って夢を無くさないために宝くじを一枚も買わないでいるのと少し似ていて、悲しい気もする。

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