君のことが好きだったし、こうして距離が出来てしまった今も君のことばかり考えています。どうして、と君が問うたびに俺は誤魔化していたけれど、本当はわかっています。君がとてもクズで、それでいながらクズである自分を受け入れられず、自分が真っ当な人間であると思い込んでいることが許せなかったからです。
こんなことを言うと君が怒って俺のもとから去ってしまうだろうから言えませんでした。君には理解できないだろうけど、許せないから惹かれるということもあるのです。俺からしたらこの感情はある種の文学的な趣さえあるのだけれど、君からしたら気持ち悪いでしょうね。
多分君は俺のほうがよっぽどクズだと言うでしょう。そこに意見を挟むつもりはありません。俺のほうがクズです。でも、あなたも結構クズです。普通の人のクズ度が10で、俺が50だとしたら、君は30くらいじゃないかな。こんなこと君に言ったらきっと瞬間的にヒステリックに怒ったあと、黙りこくって、俺が何を問いかけても何も言わなくなるんでしょうね。目に浮かびます。
そういうところがずっと許せませんでした。許せないから好きでした。いつか君に、君のしていることがいかに卑しく、悪逆で、人の心を踏みにじっているか伝えたかった。君が人並みの幸せを願うことすら烏滸がましいクズであると認めさせたかった。だから俺は君のことが好きでした。
でも俺は疲れちゃったみたいです。もう君のことをそうして傷つけるだけの元気はないみたい。きっと長く一緒に居すぎたのだと思います。君のことを好きになりすぎてしまいました。俺に甘える君の素振りも、俺を甘やかしてくれる君の薄汚い優しさも、君の心の弱さも、何もかも愛しくて、何もできなくなってしまいました。
だから、いつか君がとても愛した俺じゃない誰かに、君が生まれるべきですらなかったクズであると突き付けられることを祈ります。もしそうなっても、死んだりしないで下さいね。出来れば俺に連絡して下さい。傷ついた君の心が壊れないように、俺が癒して、また少し壊して、そうして限界がくるまで見守ってあげるから。
とてもよくわかる。 こういう感覚一回持っちゃうとクズの自覚がある人間としか関われないな。