2019-09-12

一言呪い

電車通学して数ヶ月、私はいつも決まった時間の決まった車両の決まった場所で揺られていた。

そして私と同じように時間場所も決めている男性がいた。たまに目があった。知らないけれど顔は知ってる、お互いにそう思っていただろう。

ある日その人は友達と乗っていた。その日は土曜日、人の少ない車両は少しだけ話す声が響いた。そして、その日はたまたまイヤホンを持っていなかった。

電車の中で恋愛が始まったりしないのか、という話になった。男性の友人が言った。

「あそこの女子高生とかどう?」

小声だったけどしっかり聞こえていた。

「いや、ブス」

聞こえていた。

頭が真っ白だった。後3駅も残っているのにもう降りてしまおうかと思った。私じゃないと思いたくて周りを見渡した。でも、私以外の女の人で母親より若そうな人はいなかった。

今までずっとそんな風に思ってたなんて知らなかった。知りたくなかった。

両親は可愛いって言って育ててくれた。だから私はさすがに可愛いは言い過ぎだけど普通の顔だと思っていた。

私の顔は醜かった。知らなかった。

この出来事がある前私は好きな先輩に告白していた。

死ぬほど後悔した。醜い顔で気持ちを告げてしまった。謝りたいと思った。

数週間後に振られた時ももう悲しさなんて湧いて来なかった。気持ち悪くてごめんなさいって言いたかった。

最近、先輩が可愛い後輩と付き合うことになった。その姿を見てると苦しいって友達にいった。友達には嫉妬してるの?っていわれた。

そうじゃない、そうじゃない。

化粧品を買う時、服を合わせる時、男の子の隣にいる時、人に笑うとき、話す時、時々聞こえて来る声に私は苦しめられている。それなのに、電車で見かけたあの人は可愛い女の子と2人、ニコニコ喋ってた。

なるほど。死にたい

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん