2019-08-15

離婚した父の扶養援助の依頼が来た話

アルコール依存でろくに仕事もしなかったので、養育費なんてもちろん貰えなかったし、「空き巣に入って捕まった」だの「祖母葬儀の後祖母の家に立て篭もった」だののろくでもない噂を聞き、まだ生きてんだなあくらいに思っていた。正直顔も声も、何もかも覚えていない。3歳の頃に別れてから20年程も会っていないのだから当たり前だ。

ある日、家に帰ると某県の福祉事務所から封筒が来ていた。嫌な予感がした。風の噂で、父が今住んでいると聞いたことのある場所だったからだ。何より、父のこと以外に、福祉事務所から連絡が来る心当たりがなかった。初めは、もしかすると父から手紙か何かだろうか、と思った。きっと手紙であっても、ゴミに捨てていたと思うが。

中身を開けると、「扶養援助のお願い」という紙と、8月末まで回答せよ、という調査書が入っていた。返信用封筒や、着払いで送れ等の配慮はなし。気の利かない仕事だ。どうやら日本法律では、直接血族は一応、生活保護を受ける前にその血族を援助せよということになっているらしかった。離婚してもう何年も経つ子供に対しても、それは例外でないらしい。

大人気ないなと思いつつ、書類ゴミ箱に捨てた。なんとも言えない胸のつかえを、好きなお酒で薄めて眠ろうかとも思ったが、なんだかそれは自分と酒好きで酒に溺れた父との血縁を表しているような気がしてやめた。ドロドロした話なので、名の割れるところでは書けないと思い、こうしていち増田になって散文を書いている。

もうすぐ12時だ。そろそろ寝ようと思う。もうこんなばかばかしい手紙が来ないことを祈るが、向こうも仕事だろうから、おそらく定期的にこの手紙は来るんだろうな。そしてそのたびに、私はそれをゴミ箱に捨てるのだろう。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん