分からない、つまらない、なのに勉強で身を立てようと思っていた私の人生には絶対に避けられないもので、だから仕方なく数学や、それに類する思考体系と付き合ってきた。私にとって数学のある人生というのは、癌を抱えて対処療法しながら延命しながら生きてるような感じだったんだよね。大げさじゃなく。勉強時間の大半を苦痛だ、苦痛だと思いながら数学、理科に当てなければならなかった。
あのGoogle医師のような、数学的思考にべらぼうに優れている人は何人も知ってる。私は、彼女が優秀だから傷ついたんじゃない。別にウサイン・ボルトに嫉妬しないし、傷つかないのと同じだ。
じゃあなんでこんなに傷ついて死にそうなのかというと、ただひたすら、Google医師が楽しそうだったから。数学、それに類するものを学んで、応用するのが楽しくてしょうがないという感じだから。私が血を吐く思いで対峙してきた数学、それに類する思考体系を、彼女は恐るべきスピードで習熟していくばかりでなく、「楽しんでいる」。
いやあね、敗北ですよ。こんな敗北感人生で味わったことない。彼女は少年漫画の主人公で、私は彼女の実力と純粋さに圧倒され人生を振り返る、敗北者のライバルキャラですよ。少年漫画によくある、「こいつ……試合を楽しんでいやがる!」というセリフが、これほどまでに重いなんて知らなかった。辛い。
嫉妬の対象は手に入るものなんだってよ。
気にするな!としか言えない。あれは発表の仕方が違うだけで、「世界の偉人伝」みたいな自分とは全く無関係の能力のズバ抜けた人の話として読むべきで、自分と同じ列に並べる話じ...