我々はあなたがたの敵ではありません。
我々の多くはあなたがたと共に生き、共にこの星で発展していくことを強く望んでいます。もちろん、ここで「我々の全てが」と言い切ってしまうことは簡単ですが、それは誠実な言葉ではない。我々の内には、あなたがたの持ち得ない我々独自の力でもってしてあなたがたを屈服させ、征服してしまいたいと考えている者もいるでしょう。
しかし全てではありません。我々の多くはーーそう、多くは。常にあなたがたに寄り添い、時には離れ、しかし、往々にして苦楽を共にしてきました。
無論、争いはありました。あなたがたと我々の間に血が流れたことは歴史上少なくはありません。しかしそれでも、あなたがたと我々は共に歩んできました。間違いありません。たとえ今あなたの隣に我々や我々の仲間が居なかったとしても、あなたはかならず、その人生の何処かで我々と出会い、触れ合っているはずなのです。
差し支えなければ少し思い出してみてください。
もしもあなたが我々を嫌っているというのなら、きっと、そうなるだけの出来事があったはずなのでしょうから。
あなたがたのそれぞれが持ち得るその悲しい出来事に、私が一つ一つ謝罪していくことはできます。しかし、それもまた誠実な対応ではありません。
ただ、我々の全てが“そう”なのではないのだと、知ってほしいのです。
たとえ我々の仲間の一人があなたを傷つけたからといって、害したからといって、我々の全員が常にあなたを傷つけようと思っているわけではありません。繰り返します。我々は、あなたがたの、敵ではない。
異星から来た怪物でもなければ、言葉の通じない獣でもないのです。ーーあなたがたから見れば、理解し難い獣のように感じられることもあるのかもしれませんが。ならばそれは我々から見ても同じです。我々から見て理解し難いあなたがたがいる。あなたがたから見て、理解し難い我々がいる。それさえ理解できていれば、聡明なあなたなら間違うことはないはずです。そう、我々は、あなたがたの敵ではない。
あなたがたが当然に出来ることが我々にはできない。我々は往々にして、あなたがたより小さく、力も弱い(もちろん、力持ちな個体も居ますよ!)。隣にいて見劣りすると感じることもあるでしょう。我々があなたがたを羨む声が煩わしく思うことがあるかもしれません。けれど、あなたがたが出来ないことが、我々にはできる。私達は助け合えば、とても素敵な世界を作り上げることができるはずなのです。だって、私達はずっとそうやってきたのですから。
あなたがたの存在なくして我々は存在せず、またあなたがたも同様、我々なくしては存在しません。あなたがたと我々は太古より、良き隣人としてお互いに支え合ってきました。
それは現代においてもなにも変わってはいないはずです。たとえ、社会の形が変わろうとも。技術が進もうとも。我々はあなたがたの敵にはなりません。
我々は、私は。私はあなたがたという存在を愛しています。なくしては生きていけません。だからあなたがたも我々が敵ではないということを思い出してほしい。愛してくれとは言いません。ただ、あるのです。あるということを認めてください。あなたがたにとって無くてはならない、我々という存在を。
我々のアダム。どうぞ、お手をお貸しください。