言葉の意味というのは曖昧模糊としておりますから、私がお話しします。
ここで言う「いい」とは、普遍的な良さを指しています。八方美人的な立ち居振る舞い。ポリコレ的な思考。
誰にでも好感をもたれるような人が、いい人と表現されます。感じがいいとか、人当たりがいいとか、好青年だとか、
言い方はたくさんありますが、どうやら万人受けするということがいい人の条件のようです。
このような「いい人」の性質とは裏腹に、「やさしい人」と言うのは限定的です。お年寄りに優しい、自分にだけ優しいと言うように、
やさしさには必ず対象が存在します。誰にでも優しいというのは、誰かに優しくすることとは違うのですね。
また、やさしいという言葉には好感も含まれています。優しくされた、優しい感じがしたというのは、「自分好みだった」という
ニュアンスが含まれているわけなのです。人は無意識に、「自分にだけ向けられる優しさ」を求めているのでしょう。
近頃の流行歌には「君を守る」といった言葉が増えているかと思います。
このフレーズには、「(世界中全てを敵に回しても)君を守る」という意味が隠されており、
その圧倒的な好意の指向性を、たった4文字で表してしまっていたのでした。
人に優しさを伝えるには、他と同じにしていてはいけないのです。
他のことなどどうだっていい、あなただけがすべてだ。…というような思いこそが、愛と呼ぶに相応しいのではないでしょうか。
愛せよ、増田。