私は昔自分の考えこそが100点満点中90点ぐらいでほぼほぼ正解だと信じていた。
そして、90点を91点に変えるのはいつだって自分だと信じていた。
何故なら、自分と考えが大きく違う相手に出会った時、その相手は大間違いであると決めつける他ないのである。
少しでも自分と違う人間は、大抵が自分よりも正解から外れた答えを導いた落語者に見えるのである。
そして、お互いが自分こそが90点や100点の回答の持ち主だと信じる時、正反対の意見の持ち主は0点の解答を自慢気に振り回す狂人になるのだ。
孤独にならずとも、自分と同種の人間以外とはまともな関係を築くことは出来なくなる。
大抵の人間を間違いだと決めつけるのだから、当然まともな人間ほど自分から離れていく。
ついてくるのは、よっぽど自分に自信のない人間や下心の持ち主だらけ。
自分の考えが50点だと思うようになってから大分人生が楽になった。
眼の前の相手が持ってくる答えの中に納得のできる所がいくつもある事を発見できるようになったし、その事を素直に称賛できるようになった。
対立の考えの持ち主は、自分と同じ50点の持ち主であり、良きライバルにして共に手を取り合うべき同類となった。
自分の考えが0点だと考えればもっとよくなるかといえば、そうではない。
せいぜい70点~30点ぐらいの範囲に収めるのが適切だろう。
自分の考えは劣っていて間違いだらけだと言いはる人間の周りには、食い物にしようとする者や、狂人を殴って遊ぼうと考える不埒者がよってくる。