目の前の串カツを頬張りながら口に出てしまった。こんな事言えてしまうのは彼女との空気感ゆえだ。
そう言いながら彼女は揚げナスを頬張る。サクッとした音が小気味いい。
「揚げナスがこの世で1番美味しい揚げ物だと思うわ?唐揚げはkings of 揚げ物だしカキフライは揚げ物女王だけど、ナスは別格よ」
ナスが含んだ油とソースが云々という揚げナス評を毎回言うこの子。でも僕も異論はない。揚げナスは美味しい。でも揚げたては熱すぎない?
僕たちの出会いは別に大したことのないきっかけだった。道を聞いただけだ。それがこんな所まで来てしまった。あれだけ女性と出会おうと四苦八苦したのに、こんなことで、という拍子抜け半分、降ってきた幸運にただただ感謝しかない(でもなにに?)。
「恋愛ってなんなんだろう。昔は遠くから眺める恋や対象の一挙手一投足に胸焦がすようなことがあった。でも20代後半あたりからそんな事がなくなってしまった。僕はそれがセックスのせいのように思える」
「セックス」
「恋とは結局セックスを求めるものなんだろうか。今は胸焦がす事なく、いや、そりゃ多少は焦がれるんだけど、昔みたいに何かよくわからないものを茫漠とイメージを膨らませ、よくわかないまま何かを煌めかせるような、うまく言えない」
「性的欲求がもたらす誇大妄想あるいは陶酔。ラベリングするとそんな感じ?」
そうかもしれない。でも
「そうかもしれない」
揚げナスが1番うまいことに異論はないが、揚げナスはサクっとしないだろ ナスの天ぷらの間違いじゃないのか 一応ググったけど、揚げナスはやっぱりひたっとした感じだぞ
揚げ立てならまだしも、油を吸収してるからしなるよ 美味しいけど
串カツ田中の揚げナスサクッとしてるよ?ソースに浸すまでは
串かつのナスを揚げナスと言ってるあたり、ナスにも恋愛にもシロウトだな
草ごときで揚げナスでないとかどうとかオタンコナスあんぽんたんちん
串カツ食いたくなってきました
田中へ行こう。塩茹で落花生を食べるのだ。割り方のコツは筋に沿って押し込むことだ。かっぱえびせんを超える「とまらない」があの割れ目にはある