休憩室に座っているだけで、ぶふーぶふー、と、起きているのに常にいびきをかいているような呼吸音がするほど太っている。
コーダさんは倉庫でリフトを運転している。でも、立ちリフトには乗ることができない。一回試したことがあった。みんながハラハラしながら見守る中、コーダさんは立ちリフトに身体を押し込んだ。乗れた!と、みんな歓声を上げたけれど、コーダさんは「これ、後ろ、振り向けない」と悲しそうに言ってリフトを降りた。
コーダさんの愛車は軽自動車だ。車を駐車場に停めたとき普通の車の幅だと隣の車が邪魔で外に出ることができないのだ。最近は右のタイヤだけ減りが早いとぼやいていた。
夏はコーダさんにとって大変な季節だ。昨年、ファンで外気を服の中に送り込むクーラー服がみんなに支給された。みんな喜んでいたが、コーダさんは太りすぎていて一人だけ着ることができなかった。しょうがないのでクーラー服からファンだけ取り外し、自分の作業服に前から穴を空けて抱きかかえていた。ねずみ色のダースベーダーみたいだった。
今年の夏は相当に暑かったから、倉庫に冷たいスポーツドリンクポットが導入された。これも、みんな喜んで休憩時に小さい紙コップで飲んでいたけれど、異常に減りが早い。コーダーさんを見ると、でかい自分の魔法瓶にドコドコスポーツドリンクを入れて身体の前に抱え、常にゴクゴク飲みながら仕事していた。ますますダースベーダーみたいになっていた。
みんな、コーダさんの身体を心配して、体調管理をしろ、と本気で怒っているけど、コーダさんは汗をダラダラかきながら涼しい顔をしている。