親は貧乏人だった
金に卑しいくせに、金なんて重要じゃないってずっと言ってた
金遣いが荒いくせに、子供がなけなしの小遣いを使うことにいつもグチを言ってた
この人達の嘘はすぐに見抜いた。「金なんて重要じゃない、金持ちはクズだ」なんて言っておきながら、息子を金持ちに仕立ててタカるか、社会への復讐(ルサンチマン解消)の道具にしようと企んでいるのはすぐ分かった
こんな人達が俺の人生を決めるのか、と思うと俺は馬鹿らしくなって、医者になりたくないと反発した
結局俺は、身近にあった、金儲けとはあまり縁のなさそうな職業に憧れた
大学はやっぱり、金儲けとは一番縁のなさそうな学部に進学した。その学部からは、その職業になる人間がそこそこいた
その職業に就いた
俺は気づいた
いわば代理戦争の結果だけで勝っただの負けただのやってるだけ
飽きる
そうやって調べると、金儲けって思っていたよりもずっと可能性があって、ずっと楽しくて、何よりも正当な行為だというのが分かった
結局俺は、親の影響から逃れようとして、自分の可能性を狭めていた
これじゃあ、親の影響をある意味受けているも同然だ
転職がしたい
戦いたい
じゃあどうやって?
ニッチな職種でしか働いたことのない俺が、即戦力になるわけがない
でも、まだ年齢だってそこまで行ってるわけじゃない
さあ、俺の次の手はなんだろうか