たまたま人がおらず、研究室のPC数台のセッティングを後輩の女の子と2人でやっていた。
その子は1つ下で、若干天然ぽいところがあったが、成績はそこそこ良かった。今となっては顔も思い出せないのだが、日本海側の出身で、やたらと色白で美肌だとみんなに褒められていたのは覚えている。
手分けしてあれこれケーブルをつないでいると、ふと彼女が言った。
「そういや先輩、こういうの(ケーブルの端子)って、なんでオスとかメスとか言うんですか?」
それは本当に素朴な疑問といったトーンで、ごくナチュラルな問いかけだった(ちなみに、当時はスマホもSNSもWeb検索も今ほど一般的ではない)。
心の中でコーヒー吹きそうになったが、冗談を言うような子ではなく、ガチの質問ぽかったので、ますます返事の難易度が上がる。
どう答えたものか、0.3秒くらい頭をフル回転させたあげく、
「うーん…なんでだろ。知らないや」
と、嘘をついた。ごくナチュラルに。
「はぁ、謎ですねぇ…」
彼女はその後、ごく普通に進級、卒業、就職していった。謎は無事解けたのだろうか、そして自分の答えはあれでよかったのか、今でもケーブル売り場を歩くと時々思い出す。
フラグブレーカーかな?