幼稚園から帰ってくると、家の前で少し遊んだら、あとは母と晩ごはんを作っていた。
作っていたと言っても、幼いころは、近くの特等席(食器台の上だ)から見ていて、少し味見をしたりする程度のものだ。
小学校に上がってからも、学校は遠くだった分、友達と遊ぶということはなくて、母と過ごした。
勉強もあったけれど、夕餉の香りが漂ってきたら仕舞いにして、食器を並べたりした。
ある時期から、母は精神に変調をきたし、晩ごはんを用意するどころではなく、大声をあげるようなこともあって、オレは部屋にこもって、心臓がドキドキするのを感じないように過ごした。
大学を出る季節までは、そんな調子が続き、兄弟もその精神の変調に巻き込まれてしまった。
今は昔のような優しい母に戻ったけれど、実家に帰っても、昔のような晩ごはんは出て来ない。
歳もとったのだから、仕方ないだろうな。
ごはん、ホウレンソウのお浸し、豆腐の味噌汁。今日はイワシも焼きます。
油揚げをトースターで焼いて、ネギを乗せて食べると、何枚でも食べられるのを発見したのも、小学生の頃でしたか。
ママが大好きなんだね。 いいことだ。