「3万貸してくれ」
ぼそっとひとり暮らしの老父がつぶやいた。
父が年金暮らしに入ってから15年が経つ。その間、彼はただの一度も銀行の通帳記入をしたことがない。引き出した際のレシートを見せてもらったら残高が2万しかなかった。年金の支給は2ヶ月に1度。支給月の半月前あたりからいつもぎりぎりの生活をしているようだ。
年金額は偶数月に30万。月で割ると15万になる。父の世代としては特段多くはないが、持ち家借金なしでローンで買い物をすることもないし、放蕩な暮らしをしているわけでもない。ケータイも持っていない。家庭菜園が趣味で毎日喫茶店で1杯のコーヒーを飲むのが息抜きなていどのつつましい生活をしている。
これでいつもかつかつの生活になるのか理解できない。通帳記入をして支出の概要が分かれば、どこで無駄遣いしているのか検討がつくから通帳記入してくれと頼んだが、年金で入ってくる額は一定なんだから記入する意味がない。いまさら通帳記入すると何冊にも渡ることになるので面倒、というが父の言い分だった。通帳記入なんてしてない人の方が多いぞと強調することも忘れなかった。
そういうものなのだろうか? 私は毎日こまめに支出をチェックして通帳記入も月に一度は必ずするし、問題があれば消費を見直すようにしている。
将来の年金額を試算すると父と比べて半分以下なので将来への不安がそうさせている。
「エアコンのせいで電気代がかかって今月は金がないんだよ」というのが父なりの分析だったが、電気代の請求書を見てみると先月が9000円と先々月が8000円と差はほぼなかった。
電気代のせいじゃないよ、と伝えたら「そうか、じゃあなんだろうな?」と訝しげな表情を浮かべていた。
確かに通帳記入はしない でもお金借りてる身分で通帳記入しろと言われれば拒否する権利はないと思うけどね
ゆうちょダイレクト+などの通帳レスな口座を作ってiPadで管理させたらどうだろ。
現金決済中心で暮らしてるんなら、通帳記入してもあんまり意味ないと思うけど。 むしろ家計簿なんじゃないのか。
小さい現金支出が積み重なって大きな山になっているものと思われますので、通帳記入は問題解決に役立ちません。役に立たないことを強要しても不信感が増すだけなので、最初から言...