陸上日本選手権で、サニブラウン・ハキーム選手が10秒05で優勝した。
正直、サニブラウン、ケンブリッジ飛鳥両選手が9秒台を出していたら世間はどう反応するのだろうと気になっていたが、今のところは杞憂に終わった形だ。
昨年、大相撲で琴奨菊関が優勝したときに、マスコミ各社は「日本出身力士の10年ぶり優勝」と報じた。12年に(日本国籍に帰化したモンゴル出身力士の)旭天鵬関が優勝したことは、なかったことになった。
旭天鵬関の場合は、今となればシンプルに例外的要因がつく。元の国籍があり、出身地もモンゴル。乱暴に言うと、心は日本人でも、血は違う。
だが、先の両選手は日本で育った。母はともに日本人。僕は彼らのアイデンティティが日本であると疑うつもりもないが、世の中にはきっと、日本人には聞き慣れぬ名前と、何より、黄色人種とは違う肌の色から「日本人初の9秒台」に抵抗を示す人がいるかもしれない。
マスコミは、世間はどう評するのだろうか。もしかしたら、両選手が達成した時は素直に日本人初と書いて、その後、(仮に)桐生祥秀、多田修平選手らが達成したときに「日本人の両親を持つ選手として初」とか言い出しかねない。
そんな世間は嫌だなとか思いながら、そんなざわつきが起こることを気にする時点で、きっと僕にもそんな意識が隠せないのだ。
問題提起しながら、大した対案も出せず、しまいには意見表明さえ煙に巻く腰の引け方。何も内容がないから、増田に書きました。おしまい。