2016-06-22

痴女と寂寥

たぶん人生で初めて痴女のような人と出会った。地元の駅を出てしばらく家に向かって商店街を歩いていると、わざわざスカートをまくってわざとらしく尻を出し、人影の居ない脇道に曲がった女がいた。中肉中背でガールズバー勧誘にしてはやや太めだが、十分に見栄えのする女性だ。何かの間違いだろうと脇道を眺めていると、誘うように何度か尻をまくって、僕を住宅街の奥へ奥へと誘い出す。角の手前で息を潜めると、そこにいるのは分かっているのよと誘ってくる。そして途中から住宅街の中にある駐車場に入ったので、これはさすがに潮時だろうと通り過ぎた。すると彼女は僕を探すように、通りへ出てキョロキョロとしている。追っかけるほどの勇気はなさそうだが、ここで尾行されるのも怖いので自分から向かっていった。彼女は身じろぎもせず僕のことを迎えてくれた。マスクで顔立ちは分からなかったけれども、目尻を見る限りは若いし、目鼻立ちも悪くない。この時間に何だろうか。「どうしたの?」と聞くと彼女は「お金がなくて困ってるんです。咥えさせてもらえませんか?人気のないところで」一緒にいるところを見られたくないと感じながら、ふらふらと脇道に入り「こんなところ人目だらけだよ。どこからきたの?」というと西の方を指す。「お金がなくて困ってるんだったら、これで帰りな」と、小銭入れから出した千円札差し出すと「そういうのじゃないんです、咥えさせてもらえませんか?」という。この子に咥えてもらえるんだったら悪くないかもと思いつつ、地元であるが故に人目が気になる。この子はどこから来たんだろうか?そう遠くないところからであれば、今後の近所づきあいとして面倒すぎる。「うーん、やっぱ、ちょっと無理かな」と断ると、彼女は残念そうにとぼとぼと商店街の方へと消えていった。終電前、彼女大事な書き入れ時を浪費してしまって申し訳ないと思いつつ、見送るでもなく自宅へと歩いた。彼女は今ごろ無事にスポンサーを見つけられただろうか?人生の貴重な機会を棒に振ってしまった気もしつつ、誘い込まれながら享楽に身を任せることもできない自分中途半端さを残念に思いながら、これでよかったのだと自分を納得させるために、さっき目の前で起こったことを書いてみる。

  • 昨日福岡のとあるホテルに宿泊していた。 そこでの体験したことを書き留めておく。 午後10時チェックイン。その日蒸し暑かったこともあって、すぐにシャワーを浴びた。 その後、外の...

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