エスペラントの合理性は主に「学習上の合理性」であることを指摘しておきたい。
人称による屈折の変化がないのも、発音が単純なのも、長い単語も厭わないのも、学習効率を狙ってのことだ。フランス語の不規則動詞の分厚いリストを見ても、不規則動詞は覚える負担が少ないと言えるだろうか。発音が単純かは異論があるだろう。エスペラントには比較的多くの子音がある。もちろん上級者は基本語 malvarma の代わりに kolda とか frosta(厳寒の) を使ってよい。長い単語しかないわけではないのだ。
語順の自由の合理性は学習上の合理性に留まらない。文の途中に節が割り込んで文意がとりにくくなるのを防ぐ効果がある。英語では主語を節で修飾すると、主語と動詞の間に節が割り込む形になってしまう。それを解決するために、受動態を多く用いるが、エスペラントでは語順の自由があるのでさほど多用しないで済む。エスペラントはラテン語とは違い、格は対格しかない。対格を忘れても意思疎通に支障が起きない程度の冗長性は持ち合わせている。
自然言語の一見不合理な特徴はよく考えると皆全て合理的だった。不規則動詞はよく使う動詞に限定されているから、その他の重要ではない動詞から区別しやすくなるし、よく使う動詞...
エスペラントの合理性は主に「学習上の合理性」であることを指摘しておきたい。 人称による屈折の変化がないのも、発音が単純なのも、長い単語も厭わないのも、学習効率を狙っての...