2015-10-27

知らないネコを探して2時間、歩き続けてきた(実話)

いつものごとく、昼間から何もすることがなかった。だから、何年も住んでいる町で、僕は消えた猫を探してみる旅に出ようと思った。

僕の猫ではない。知らない家の猫である。僕の家の近くに電柱がある。そこにずっと前から写真入りのポスターが貼ってあった。

「猫を探しています。。。」

突然、いなくなってしまったらしい。

僕はどんな猫なのかその猫写真を見てみた。ヘンな模様があるなというぐらいで別に普通の猫。町を行きかう人はそのポスターを誰も見ていない。

きっと猫が一匹消えたところで世界は変わらない、その通りだとは僕も思う。

だけど、ポスターの右端に、「大事存在です。見つけ次第連絡をください」と言葉を添えてあった。強い想いが伝わってきた。

僕の家にも老犬がいる。10年以上の親友で。そして、今でも大事家族だ。

の子がいなくなったら、僕だって毎日、悲しいだろう。

別に、何かのボランティアでやってやろうと思ったわけではない。ただある日、思い立ったのだ。

決意したその日に、さっそく猫を探し続けた。建物建物の間。車の下。ふと一匹だけ猫を最近見かけたことを思い出した。

あの猫は探している猫だったかもしれない。そう思い、そのあたりをたくさん探した。でも、いなかった。どこにも。

猫を探したら、飼い主が喜ぶだろうし、誰かがほめてくれるかもしれない、と思った。それは普通感情として思う。

だけど、探しているうちに気づいた。そうじゃない。それだけじゃない。

僕はたぶん誰かの役に立ちたかったんだと思う。家にいて何もできない自分を変えてみたかったのかもしれない。

あの猫があれほど必要とされてるように、僕も誰かに強く必要とされたかったんだろう。

僕も迷子になっていたのかもしれないな。

みんな仕事趣味恋愛をがんばっていて、すごいねって言われている。

僕は違った。がんばってはいるけれど、家にいるから誰もそのことに気づいてはくれなかった。がんばってる僕を、探してはくれなかった。

誰かに見つけてほしかったんだ。僕はその日、自分から猫を探そうと思ったけれど、僕は本当は……そうした僕を見つけてほしかったんだ。

そしたら、ある人に、がんばったじゃないかと言われた。それだけだったけど、僕は。

から猫。君もがんばってほしい。もうおそらく数か月以上はたってしまっただろうけど、まだ生きていてほしいと強く願う。

猫だろうとなんだろうと、誰かを探してくれない人なんていない。

お前にはちゃんと探してくれてる人がいるよ。

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