二人の男がPCを前にして、話していた。
一人はねずみ男みたいな顔をしていた。もう一人はよくわからない顔だ。
「こんなにも簡単に統制ができるものなんですね。」
「そうだ。小説家になれるというあってないような希望を見せることで、こんなにも簡単に投稿内容をまともにできるんだ。」
「これで、取引所の鐘も鳴らせそうです」
「まあな」
ろくでもないことだった。
投稿される内容は無理やりポジティブにしたものだった。すべて似通っていた。
小説というのは、登場人物になんらかの特技が備わっていないと成り立たない。
特技の内容というのは大抵おなじになるものだ。顔がいい、何かができる、会話ができる。
しかし、特技がないと物語は進まない、そして似る。いや、おなじになる。
容姿が悪い男女が何かなせるかと言ったら、嗚咽と愚痴くらいであるから、話はおなじになるのだ。
小説を人々に自発的に書かせることは、特技がある人間の話を沢山創りださせるということだ。
しかも、書かせる方はよく出来ていてそれを読みたい人間に売りつける。
「やっぱり、容姿が良くないとなにも出来ないんだ」
「それもそうだ 金を払わなきゃ、ニキビ液がおとなになっても染み出て来る僕達がセックスなんて出来ないしな」
ネットは既に現実だ。特技がある、特に性的魅力に困らない容姿のいい人間が第一とされる世界はインターネットで強化され、それは現実をより息苦しくさせる。
どんどん容姿のいい人間が主人公のポジティブにな物語が、容姿のいい人間の価値を上げている。
「どうすればいいんだろうな スマホ見ても、小説読んでも容姿のいい人間しか活躍できないや」
「生きるしかないよ」
「生きてれば姿が変わる。。。。はずがないか」