我が家は調理中に調味料を使う事が殆ど無かった、肉や野菜の素湯でや素焼きに各々で何かをかけて食べていた。私はソースしかかけなかったので野菜も肉も世の中の食べ物は全てソースの味だとしか思わなかった。
最初に味が付いているものはあまり食べたくなかった。それを食べた後はよくお腹が痛くなるからだ。
火の通りという概念がなかった、生焼けでも食うし焦げていても食った。父は食べなかったが何も言わない、言うと母の機嫌が悪くなりケンカになるからだ。
飯を作るのが面倒くさい日にはチョコかポテトチップスかマシュマロが与えられた。マシュマロは好きだったがポテトチップスはソースをつけて食べた。チョコは口にまとわりつく感覚が気持ち悪く嫌いだった。
ご飯は普通だった、普通の米を普通に炊いて普通に食べていた。カレーは美味しかったが我が家のカレーとはルーを溶かしただけのお湯だ、ブイヨンとかコンソメとかは一切入って無かった。
学校の給食はいろんな味がして口が痛くなるのでパンやご飯以外殆ど食べられなかった。時折ソース味とカレー味の物は食べられた。なぜか牛乳は飲めた。
16年それで生きて初めて気が付いた、食事をもっと楽しむ方法があるらしいと。
メシマズ母を持つ子供の中でこれがどの位のレベルなのかは分からんが「メシマズ母のお陰でなんでも美味しく食べれるね」と言ったら16年間同じ目にあわせたくなる。
×素湯で ○素茹で かな?