会社でもそれなりの立場につき、最近では自分に対して否定的な意見をくれる人がいなくなっていた。
例えば仕事にかかわらず世の中の話なんかを会社の人間としたところで、その是非を判断できているのかわからないままに「その通りですね」「説得力がある意見ですね」なんて言われたりする。
正直、自分の意見がどれくらい正しいのかを判断する機会が身近では失われていたのだ。
最初の印象はこうだった。誰一人として大したことを書いてない。自分ならもっと的確な切り口で物を語れるはずだ。と。
ところがいざ書き出してみるとどうにも反応を得られなかった。
トラバで適当にマウントを取られたまま流されていくのが関の山だった。
そこで大切なことに気づいたのだ。
人に正論を並べられたところで、さらなる正論でマウントを取るか相手の気持を害さないように無難なコメントをする以外に会話を続ける手段がないのだ。
まさに現実の自分と同じではないか。だから周囲の人間は当たり障りないコメントを残すことしかしなかったのだ。
それに気づいてからは早かった。