2013-02-04

海外旅行人数に見る、「若者の●●離れ」の統計マジック

2月1日の日経夕刊2面に「海外旅行、中高年に存在感」という記事があった。

2001年・2011年の出入国管理統計における、各世代毎(10歳刻み)のシェアが載っていて、

「20歳代 2001年 21.9%⇒2011年 16.5%」

40歳代 2001年 15.9%⇒2011年 19.6%」

ということで、

「今まで出国者のメーンを占めていた20代に代わって、40歳代などの中高年が出国者のメーン

 なりつつある」というお決まりの記事。

その延長線上の記事に

http://allabout.co.jp/gm/gc/58456/

などは「若者海外旅行離れ」と揶揄している。

しかし、この数値を目にした瞬間、

「あれ?若年人口のものの減少を考慮すると、実は出国率はさほど減ってないんじゃないか?」

という疑念を持ってしまった。

時点は1年ずれているが、2000年国勢調査・2010年国勢調査の各時点における、

20歳代人口の全人口シェア数字を、そのまま援用させていただく。

http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/index.htm

2000年国勢調査 20歳代人口18,211,769/全人口126,925,843=14.35%

2010年国勢調査 20歳代人口13,720,134/全人口128,057,352=10.71%

まり、20代人口シェア自体が、この10年間で14.35%⇒10.71%ということで、

実に4分の3になっちゃっている。(2010年シェア=2000年シェア比74.63%)

一方、海外旅行世代シェアは、と言えば、この10年間で21.9%⇒16.5%、

確かに減ってはいるが、2010年シェア=2000年シェア比75.34%だから

実は年齢層自体の減少スピードと、ほぼイコールである

何のことはない、「若者海外旅行離れ」と揶揄される現象のエビデンスとして使われるデータは、

若者自体の全年代に占めるシェアの低下」によって、殆ど説明できちゃうのだ。

こと海外旅行に関して言えば、全く「若者海外旅行離れ」は見られないのである

データ分析する側が、「若年層自体のシェア低下」という要因を補正しないのであれば

「単なるバカ」だが、どうも、分析する側も、若年層自体のシェア低下という事実を知っていて、

にもかかわらず、それには言及していない気がする。

恐らく、若者音楽離れ・CD離れなんかも、上記のような年代シェア低下要因で、殆ど説明できちゃうのではないか

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