2月1日の日経夕刊2面に「海外旅行、中高年に存在感」という記事があった。
2001年・2011年の出入国管理統計における、各世代毎(10歳刻み)のシェアが載っていて、
「20歳代 2001年 21.9%⇒2011年 16.5%」
「40歳代 2001年 15.9%⇒2011年 19.6%」
ということで、
「今まで出国者のメーンを占めていた20代に代わって、40歳代などの中高年が出国者のメーンに
なりつつある」というお決まりの記事。
その延長線上の記事に
http://allabout.co.jp/gm/gc/58456/
しかし、この数値を目にした瞬間、
「あれ?若年人口そのものの減少を考慮すると、実は出国率はさほど減ってないんじゃないか?」
という疑念を持ってしまった。
時点は1年ずれているが、2000年国勢調査・2010年国勢調査の各時点における、
20歳代人口の全人口シェアの数字を、そのまま援用させていただく。
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/index.htm
2000年国勢調査 20歳代人口18,211,769/全人口126,925,843=14.35%
2010年国勢調査 20歳代人口13,720,134/全人口128,057,352=10.71%
つまり、20代人口シェア自体が、この10年間で14.35%⇒10.71%ということで、
実に4分の3になっちゃっている。(2010年シェア=2000年シェア比74.63%)
一方、海外旅行の世代毎シェアは、と言えば、この10年間で21.9%⇒16.5%、
確かに減ってはいるが、2010年シェア=2000年シェア比75.34%だから、
何のことはない、「若者の海外旅行離れ」と揶揄される現象のエビデンスとして使われるデータは、
「若者自体の全年代に占めるシェアの低下」によって、殆ど説明できちゃうのだ。
こと海外旅行に関して言えば、全く「若者の海外旅行離れ」は見られないのである。
データを分析する側が、「若年層自体のシェア低下」という要因を補正しないのであれば
「単なるバカ」だが、どうも、分析する側も、若年層自体のシェア低下という事実を知っていて、
にもかかわらず、それには言及していない気がする。