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長所は特にありません。1年間かけてこれまでの一生を事細かに振り返りましたが、長所や誇れる実績なんて一つもありません。真面目なわけじゃないけれど、不良ではないし、ひどく怠惰な人間だけど、大学にまでは来ました。来ただけです。サークル活動もしました。4年間打ち込みました。一番上手くも一番熱心でもなかったけれど、役職にも就き、後輩とも仲良くなりました。楽しいことも苦しいこともあったけれど、過ぎてしまえば漠然とした思い出です。頑張ったこともあるし、特別になることや一番になることを目指したこともあるけれど、結局何にもなりませんでした。引っ込み思案ではないけれど、人見知りだし、おしゃべりだけど、すごく口下手だし、更に言えばかなりのうそつきです。自己PRしろと言われても、長所が一つも思い当たりませんし、そもそも自分がすごく嫌いです。すごく嫌いだけど、世界一大事でかわいいです。これは引きこもりやニートのメンタリティだと思います。頭は悪いのにプライドばかり高いし、友情や愛情に対してとても懐疑的なのに、孤独が怖くて仕方ないです。もう私は22歳です。こんなことに迷っていていい時期はとっくの昔に過ぎています。勤勉な父と優しい母と両方の良さを併せ持った凡庸ながらも人の好い兄がいます。家族には愛され、甘やかされ生きてきたのだと思います。やるしかないとぶつぶつ言いながら就職活動をしているけれど、元気な学生のピンと伸びた背筋を見ていると、どうあがいても勝てない気がしてきます。同じように背筋を伸ばし、口角を上げ、ハキハキ喋っているつもりです。つもりですけど、できているんでしょうか。電車に揺られて疲れた足を引きずって、アパートに帰ってスーツを脱ぐとき、薄暗い部屋で泣きたくなります。鏡の中の乾いた土みたいな顔色の自分を見て、笑顔を作ってみたら、卑屈で貧相で、最悪でした。こんな学生誰も雇わないだろと思いました。
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