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2022-02-11

なぜ「スラローム」を「回転」と訳してしまったのか?

スキー(とスノーボード)には「回転」「大回転」「スーパー大回転」という頭の悪そうな名前の種目がある。

それぞれ「Slalom」「Giant Slalom」「Super Giant Slalom」の訳である

しかし「スラローム」というと、普通は「蛇行」と訳されるものではないか

スーパー大回転」などと聞くと個人的には、

ジャンプして空中でぐるぐると回転しているところを想像してしまうのだが、

実際の競技は、立てられたポールやゲートのあいだを蛇行しながら滑り降りていく競技である

それなら「蛇行」「大蛇行」「スーパー大蛇行」ではないか

いったい誰がこんな訳にしたのか?

遡ってみると、1923年第一全日本スキー選手権大会では、

スラローム」はそのまま「スラローム」と呼ばれていたらしい。

http://www.ski-japan.or.jp/3786/

第三回以降にいったん「スラローム」は姿を消すが、

1937年の第十五回大会アルペン競技が新設されて「滑降」「回転」「複合」が行われたという。

http://www.ski-japan.or.jp/3791/

おそらくこのあたりで「スラローム」のことを「回転」と呼ぶようになったのだろう。

しか第一大会に「スラローム」という競技があったとおり、

その当時「スラローム」という言葉がまったく使われていなかったわけではない。

当時のスキー教本などにも「スラローム」という表記で載っている。

スラロームと云ふ言葉はノルウエー語で痕跡の輪廓を描くと云ふ意味ださうである。其の廻轉の姿勢クリスチアニアウイングであるとかテレマークウイングであるとか其他種々の姿勢であると云ふ事、並びに杖の使用使用と云うふようなことには全然無關係である

スキーイング初歩 - Google Books

スラロームは右、左のスヰングを自由にやりうる人のみが描きうる曲線の美しさである。スヰングとは體の振方とスキーの角付とによつて滑降中徐々に或は急激に方向を變じ或は停止する技で、外觀上の美のみでなく實用上缺く可からざる動作である

スキーとスケート - Google Books

クリスチャニア回轉又はテレマーク回轉を連續的に行って、雪の上に大きくの字を描きながら滑り降るのを、それぞれクリスチャニアスラロームテレマークスラロームと呼ぶ。“スラローム" Slalom は恐らくノールウェイ語であらう。

外来語研究 - Google ブックス

注目すべきは、ここで「回転(廻轉・回轉)」と訳されているのは「スウィング」や「ターン」のほうだった、という点だ。

「ターン」を「回転」と訳すのは、バレエなどでも同じであり、それほど違和感は無いだろう。

上記文章では、はっきりと「スラローム」と「回転」区別されており、明らかに異なる用語として広まっていたことがわかる。

まり全日本スキー選手権大会(かどうかは分からないが)も、

スラローム」と「回転」の違いは承知していたはずで、

それで後からスラローム」の訳語「回転」と決めたとは考えづらい。

単にアルペン種目を新設するにあたって「スラローム」という横文字を嫌い、

「回転を繰り返して滑り降りる競技なんだからそのまま『回転』と呼んだほうが分かりやすくね?」

みたいな感じで競技名を決めただけなのではないか

それが後に「ジャイアントスラローム」が登場してやむなく「大回転」と訳すことになり、

「回転」がターンを表すのはまだしも「大回転」はもう違う言葉だよなあ)

さらに「スーパージャイアントスラローム」が登場するに至って

もはやパチンコの売り文句みたいにせざるを得なくなったということだろう。

また「ターン」を「回転」と呼ぶことも少なくなり、

今となっては競技名としての知名度のほうが遥かに高くなったので、

まるで「スラローム」の訳語「回転」であるかのようになってしまった、

ということなのではないか

言っても一般人にとっては冬季オリンピックくらいでしか耳にしない単語ではあるし、

えいやで「スラローム」「Gスラローム」「SGスラローム」とかに変更しちゃっていいと思うんですけどね。

それか本当に「蛇行」「大蛇行」「スーパー大蛇行」でもイインダヨ。

 
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