最近というのも、例えば1960年代のアメリカの諜報能力は特に突出したわけではなく、ロシアと同レベルか少し下ぐらいだった。
当時のソ連はアメリカの諜報員をかなりの数捕まえていたし(冤罪も多かったが、本物も多かった)、その逆も然りだった。
しかし2010年代からアメリカの諜報能力は異常なほど高まっていった。
きっかけはやはり9.11で、あれ以降諜報機関……特にCIAの能力が異常に突出していった。
スノーデンの告発においては同盟国ですら盗聴していたことがリークされたが、しかし特に何の反発もなし、お咎めなしのような形になった。
思い返せば、もはやどの国ですらアメリカの諜報活動を阻止することなどできないという諦めのようなものを感じさせる出来事だった。米国民ですら監視されているのに、許容するような世論になり、「定着」した。
この定着というのがなかなか末恐ろしいところ。というのもある期間、アメリカはミームについて膨大な研究を積み重ねていたんだよね。
例えばCIAの米国民に対する諜報なんかは、もはや誰も真剣に考えない。何ならジョークになる。ジョークになるとどんな不謹慎ですら許される(風潮がある)。これが意図的なものなのかすら分からない。
2020年代においては、もはやアメリカがどのような手段で諜報活動を行っているのか想像すらもできない。
つまりは陰謀論の域になるのだが、もはやアメリカがどのように関与してどのように諜報しているのか何の手がかりもない点においては、あまりに上手く溶け込んでいる。
アメリカが諜報活動に基づいて行動しているのだと仮定してみると、もはや個人のスマートフォンは筒抜けだと考えてもぬるい域に達している気がする。
これはちょっと信じられない話で、どの諜報機関もそこまでのレベルに達したことはない。
社内統計とかを扱ったことのある人間ならわかると思うが、少ない人数の限られた情報でも膨大な量になり、そしてそれを使えるように処理するのは困難を極める。
だがアメリカは全世界の情報でそれをやってのけてしまったと考えるしかない。
あらゆる情報を集め、そして即座に抽出、解析する技術にどれだけの投資をしてきたのかを考えると、今日のIT企業がほとんどアメリカ企業なのも納得がいく話ではある。
その割にトランプやQアノンなんて訳の分からんのが出て来て議会襲撃した挙句返り咲こうとしているという