俺は、某地方都市に在住している。平凡な高校と大学を平凡な成績で卒業した後、家を出て独り暮らしをはじめた。
仕事はと言えば、平凡な企業に就職して平凡な仕事で平凡な給料をもらい、平々凡々な日々を送っている。やりがいもないがパワハラもない。まあ世間から見ればいい職場なんだろうと思う。
そんな俺だが、GW最終日の今日は予定を入れずに、明日からの仕事に備えて一日ノンビリしようと思ったんだ。そんで朝から家でゴロゴロしてたんだが、どうにもちょっとヒマだなと思って、近所にあるパチンコ屋に行ったんだ。
俺の家から車で30分ほどの実家で母親と2人で暮らす父親が、パチンコを打っていた。
俺は父親とはあまり会話をした記憶がない。父親は俺の小さい頃から仕事の虫のような人で、土日でも家にいることが少なかった。家にいる時もTVを見ているか寝ているかで、今思えば俺は父親の趣味嗜好も全く把握していない。
今はもう年金暮らしの父親がパチンコ屋でパチンコを打っていた。しかも319のZガンダムである。データカウンターに目をやると、800回ハマっている。5分前に父親が来店して790回ハマりの台に着席したという可能性も無いではないが、その可能性は薄そうだった。
その光景を見たとき、俺は泣きそうになった。自分もパチンコを打つ為に店に来たくせに、パチンコに興じている肉親を見て、涙がこぼれた。端的に言うと情けなかった。
俺は父親に声をかけずに通り過ぎると、そのまま店を出た。コンビニで酒とつまみを買うと、家に戻って泣きながら飲んだくれた。気が付いたら寝てしまっていた。起きたのがついさっきである。
まー息子のあなたも立派になってそうなったってことじゃない? 父親は父親然してほしかったっていうのはわかるが、まああなたと変わらない人間なわけで、そう考えれば自然では。 ...