2024-07-22

私のぬいぐるみを知りませんか

ずっと昔、いや猫の寿命ぐらい前

電車ぬいぐるみを膝に乗せてなければ

落ち着かない時期があった。

理由は分からないけど、とにかく膝にぬいぐるみをいつも乗せて会社帰りは電車に揺られていた。ぬいぐるみは猫だった

名前はなんだったかな…ちりまつ、れもん

だいすけ…ええと思い出せないや

ある日、ぬいぐるみ誘拐された

自販機ジュースを買っていたら、戻ってきた時にはすでに居なかったのだ

駅員さんにも聞いてみたが、届いてないとのことだった。

最後に見た姿はベンチの左端に座って、ガラス越しに夕日を見ていた姿だった

こうして、私はひとりで電車に乗らなくては

いけなくなったのだ。

それから数日後、ハードオフを歩いていると

なんとあのぬいぐるみそっくりぬいぐるみがお座りしていた。他のぬいぐるみと同じく、新しいご主人様に気に入られるためかひどく大人しくかった。だが、私はそれを買う勇気が出なかった。なぜならこれが私の友達ぬいぐるみとは限らないかである

もし、これが別の人に置いてかれたぬいぐるみだったらこの子は全く知らない思い出話をいつまでも聞かされることになる。

それはかわいそうだ

結局、その日は「またくるね」と約束して

買わなかったが、数日後

そこにその子はいなかった

店の人がしまったのか、新しいご主人様が

見つかったのかは分からないが、とにかく

いなかった。

仕方なく代わりにしまじろうのぬいぐるみ

買って帰った。帰り道、胸にしまじろうを

ぎゅっと抱いていると、すれ違いざまに犬が吠えた。わうわう吠えた

わず私は抱いていたぬいぐるみを犬の方へ向けてしまったのだ。そうしてはっとなった

はいつの間にか友達を道具のようにしてしまうほど、変わってしまたことに

そんな事もあったが、それからわさび入りの

おすしが食べられるようになって、電車の中で手を繋ぐふたりをみてうらやましく思わなくなって、ひとりで夕焼けを見ても涙が出ないようになった

だが、今も電車に乗ってはしまじろうと一緒にあの子の事を探している

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