今年からTDF見てる人には勘違いしてほしくないんだけど、最有力の優勝候補が2日目からライバルにアタックかけるなんて展開、今までなかったからね。
ここ10年20年、総合優勝候補の走り方は「つとめて温存、ここしかないというタイミングで勝負に出る」というのが常道だった。
通常のステージでは「ライバルと同着」を堅実に狙い、自分やライバルの調子を見て、タイム差を奪えそうなところ(普通は山岳クイーン・ステージ)でアタックをする。あるいは、個人TTに全ベットする。
レモンもランスもコンタもフルームもそうやって勝ってきた。ステージ優勝を一度もせずに総合優勝した選手がいるくらいだ。
そのスタイルというかセオリーを、ポガチャルは過去のものにしてしまった感じがある。
でもそれは、TDFに新たなパラダイムが持ち込まれたわけではなく、単にポガチャルが競争大好きなだけ。ポガチャルはひとりでTDFを自分の好きなように走ってる。とにかくどのステージでも一等賞を獲りたい!みたいなキラキラした純粋さでレースを楽しんでいるのがわかる。
もちろんTDFファンにとっては嬉しい変化だ。
今まで全21ステージのところどころでカッと熱く燃える瞬間はあったが、それ以外はずっと「堅守するリーダーと攻めあぐねるライバルの膠着」をひたすら見せられるのがTDFだった。それが、いつでもどこでもアタックしたいポガチャル君のおかげで、いつ何が起こるかわからない、ワクワクするものに変わってしまった。
今年のTDFもきっと面白くなるぞ。