喫茶店に寄ってちょっと話をすることになって、さっきの映画は確かに面白くて私も興奮していた。
え?砂糖入れるの?
「うん?」とあなたは聞き返してきた。
どうして砂糖を入れるの?
人生はブラックコーヒーようなものでしょ?私そう言うとあなたは眉を顰めた。
甘くはないってこと。
あなたは苦笑いをする。ブラックを飲んだからこんな顔をするんじゃないかって思わせるような。
あなたは今自分が言われたことをすぐ忘れたように映画の感想を滔々と語り、私のさっきの言葉が映画からのオマージュであることには気づかない。
少し歩くと苛立ちがこみ上げてきた。貴重な休日を犠牲にしてまで行ったことに対する苛立ち。
そのコーヒーは微糖だった。