その子は勉強も運動もそこそこできて、別にブサイクでもないし、いじめられているわけでもなかった。
超仲良し!って感じの決まった友達はいないみたいで、よくつるむような相手はおらず誰とでも広く浅く付き合うような子だった。
中学2年生のちょうどこのくらいの季節、体育祭の後に打ち上げをやろうという話になり私がその子に声をかけた。
「お母さんに聞いてみるね」と言われ、その後「子どもだけで◯◯へ行くのははだめって言われた。ごめんね」と謝られた。
いいよいいよ仕方ないよ、また今度別のとこ遊びに行こうね、と話し、その他にも来れない数人を除いたクラスメイト達で打ち上げに行き楽しんだ。
その後数日間、クラスでの話題はその打ち上げの話ばかりだった。
打ち上げに参加しなかったその子は当然みんなの話についてこれなくて、誰々のカラオケが上手かっただのと盛り上がっている横で会話に加わらず国語の教科書の後ろの方のページを読んでいた。
その1週間後くらいにその子が亡くなった。
それを聞いた時、最初はすごく驚いて、しばらくしてから涙が溢れて息がうまくできなくなった。脳みそが頭蓋骨の中でぐるぐると回っているような、心臓を冷たい手で握りつぶされたような感覚がした。
決していじめがあったわけじゃなかった。何か学校の外での悩みや家庭の問題があったのかもしれない。でも、原因を自分の中に見出そうとしてしまって、苦しくなって自分を責める日が続いた。
あの時、来られない人がいるなら打ち上げをやめようと言うべきだった、話題に入れない人がいるそばで盛り上がるのは控えるべきだった、普段からもっと仲良くしておけばよかったとか、考えても仕方のないことばかりを考えてしまう。
いまだに思い出して、意味のない後悔をしている。
毒親が原因やね。