2023-09-14

[] 愚者サイコロ

ボブは量子力学についての知識素人だった。ところが、ウィグナーの友人を応用すれば、量子乱数を使い、可能世界の重ね合わせを実現できるのではないかと思った。

可能世界とは、今までの知識経験から考えても無矛盾世界の集合で、これはいくつもバリエーションはありえる。

だが、どういう世界になるかはわからない。ボブは異世界アニメの影響を受けていて、本当に別の世界に行きたいと思っていた。

そして量子乱数を使ったそのプログラムを走らせた。...なにもおこらない

もう一度走らせる...やはりなにも起こらない。

それを何度も繰り返していると、急にテレビが付き始めた。

テレビの画面の中に外国人が映っており、「もうわかった」と話し始めた。

「もうわかった」と男はもう一度言った。

画面に映る住民は言う「な、なに?」「なにかの暗号よきっと」

「お前たちはもう自由だ、好きなところへいけ」

ボブはキターと思った。好きな異世界へ行けるというサインに違いない。

しかしボブの考えは甘すぎた。

その後にいくつかの異世界バリエーション体験したが、どれも地獄所業であった。

そしてボブは元の世界に戻ってくると「異世界は駄目だ!危険ロジックで構築されている!今の世界が一番!神を信用しよう!」と言った。

その後、ボブはTVニュース不快さを除けば平和で穏やかな生活を取り戻したのであった。

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