「アルコール依存症はアルコールに依存する病気である」とするのはアルコール依存に対する解像度が低すぎる。
「もやもや病はもやもやする病気です」なんて言われたら患者はブチギレるだろう。
依存症とは「辞めなければいけないと本人もしくは周囲が思っていても辞められない」という病気である。
薬物中毒の一種として脳神経の病としての側面もあるが、社会的な状況に対しての性質も付随している。
薬物を一度でも使うことが禁じられている社会においては、一回目のドラッグ使用が薬物中毒となる。
だが大麻が解禁されている国においては、大麻を辞めなければいけない状態においても続けてしまって初めて大麻依存となるのだ。
廣井きくりの酒癖の悪さは周囲から完全に忌み嫌われて入るが「辞めなければ許されない」とはされてはいない。
また本人がソレに対して「辞めなければ死ぬから辞める必要がある」と考えているわけでもない。
独自の幸せスパイラル理論を元に飲み続けたくて酒を飲んでいるわけだ。
もしもこの状態から「いよいよ辞めなければいけない」と思った時、「それでも辞められなかった」になって初めてアルコール依存症という病が成立する。
彼女はまだあくまで「いずれアルコール依存症になる生活」をしているだけであり、まだそうではない。