2022-03-11

滑り止め

中期日程の試験に向かう電車トンネル続きで、当時の二つ折り携帯では合格発表ウェブサイトがなかなか見られなかった、アクセスも集中していたし、なにより通信環境が悪かった。

大月駅に着いた頃、ようやく前期日程の不合格を知った、

まあそうだよね、とも思った。


ずっと、私立は行かせない、浪人はさせないと言われていた、

センター試験は散々な出来で、第一志望はほとんど記念受験だった。

中後期は行きたいかどうかではなくて、絶対に現役で受かるかどうかで決めざるを得なかった、

どこも引っ掛からなければ死のうと思っていた。


ひと月前の記録的な大雪がまだ残っていた、

山に囲まれ、曇り空がどんよりとした小さな街で、本当になにも無いな、と思った、

入学してからしばらくして、ちょうど5月連休の前ころに、あなたは厳正なる審査の結果、入寮選考落選しましたという通知が第一志望の大学から来た。なんとも言えない気持ちになった。


あれから8年経ったけど、自分が選んだ道が正しかったのか分からない。

あの4年間を、何やかんやでいい思い出だったねと片付けられるほど、まだ大人になりきれない春がまたやってくる。

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